ヒロトシ さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
受け継がれてきた伝統を愛する高校生達が切磋琢磨する姿は美しく、そして儚い。
放送途中なのですが、6話までの感想を書きたくなったので書きます。終了後に総評投下予定するつもりです。
原作既読なのと、1期であれだけの完成度を見せてくれたのもあって、絶対に外れはしない!と思って、ハードルをかなり上げて2期を見てみましたが、毎回毎回目頭が熱くなるのを抑えられない展開に改めてこの作品は凄い!と思い知りました。
ニコニコ動画でかるた競技の名人戦・クイーン戦を配信していた事がありまして、私も全部ではないですが、視聴しました。所詮アニメや漫画の表現でかるたというのは面白さが引き上げられているのだろうと思っていましたが、いざ試合となると会場の緊張感。そして選手達の集中力。静から一瞬にして動に至るまでの雰囲気は圧倒されました。
こんな面白い競技、ましてや日本の文化の積み重ねという側面も持っている『競技かるた』という世界を学生時代の百人一首の思い出だけで済ましてきたであろう大半の人にとっては『もっと早く知りたかった世界』ですね。ですが、そのまま面白さのかけらも知らないで終わる事はもっと耐えられなかった。そういう意味でちはやふるという作品にめぐり合えたことは、幸運だったのかもしれません。
{netabare}私は個人戦より団体戦の方が好きなので、現在高校選手権をメインにしている2期の展開は非常に楽しみながら視聴しています。個人戦も個人戦で面白いんですけど、団体戦は『終わり』があるから、その分選手達のモチベーションも異様に高いのが見てとれるのがいいかなあと感じます。
高校野球がプロでもないのにあれだけの人気を誇っているのは、ひとえに高校生でいられる期間が3年間しかなく、甲子園に行く事、そして優勝する事は人生の中で僅かな機会しかない。だからこそチャンスを全力で掴みに行き、あれだけ必死にプレーをし、そこに無意識のうちに共感してしまうから、面白いと感じるのだと思います。
他のスポーツと違い、プロが存在せず、老若男女が集まって楽しめる、競技かるたは個人戦であれば、年齢にほとんど上限は無く、自分の好きな時までいつまでもプレーは出来ます。ですが団体戦となると、時期はおのずと限定されてきます。高校生の団体戦は勿論3年間限りですし、ちはや達が瑞沢というチームでプレー出来るのも3年間です。ちはやと真島、かなちゃんと机君と肉まん君は所属している会もそもそも違います。卒業すれば、必然的に別れて競技を続けるのは見えている将来です。
そういった『終わり』が見えはじめている高校生の切磋琢磨する姿には頭が下がります。自分が学生時代の時、終わりが見えているからといって、熱くなることや、自分を高めようと努力した事があっただろうか?と柄にも無く、自分のかつての姿と千早達を対比させながら見ています。勿論架空のお話であるので、現実と混同してしまうのはナンセンスという所もないわけではありません。ですが、登場人物達が壁にぶつかりながらも前に進んでいく姿勢というのは、フィクションであっても、彼らが若い人間であろうとも、見習わなくてはいけないのかなと、そういう風に思います。
かつてヒカルの碁がテレビで放送された時に、囲碁ブームが巻き起こりましたが、この『ちはやふる』もかるたブームを巻き起こすには充分な素養を持っているだけに、深夜放送改めて勿体無いなと思います。アニメファンだけではなく、色んな層に見せても充分に通用する作品なので、日テレもオンデマンドだけでなくて、再放送を夏休みに組むとか考えてもらいたいですね。日本の伝統文化なのですから、広めるという事にもうちょっと積極的になっても良いとは思いますよ。{/netabare}