STONE さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
正義とは?
原作は未読。
シリアスなヒーローもので、最近はこういったヒーローもの作品は減ってきた感が強いが、
原作者の桂 正和さんはヒーローもの好きだなあと改めて痛感。
ヒーローものとしては日本の特撮ヒーローものとアメコミのヒーローものの折衷的な印象。
劇中の事件が終わった後、ラストで「ヒーローは今日も戦い続ける」みたいな部分で
終わらせているところは、ハリウッドの実写ヒーローもののエンディングを思わせる。
そう言えば初回と最終回のナレーションを、洋画の予告編のナレーションなどをよく担当
する俳優の遠藤 憲一さんが務めていたが、そういった洋画っぽさを取り入れたかったの
かな。
展開も雰囲気も作品独自の個性が出せていた感はあったが、あまり弾けることなく、良くも
悪くもオーソドックスな感じで終わってしまった感が強い。
ストーリーを追うのに手一杯であまりキャラの掘り下げができなかった印象が強く、一応
最後はそれなりにまとまって終わったが、事象のまとまりはつけてもキャラ達の心情は
未整理のまま終わった感じで、なんかモヤモヤ感が残った。
こういった画風は嫌いではないが、前述のようにキャラの描き込みが足りない感があり、
そのせいか印象に残るキャラがいなかった。
例えば天城 小葉などは立ち位置的にはメインヒロインに該当するキャラなのだろうけど、
サブヒロイン的存在の田中 花子の方が描き込みが深かった分、印象強かったし。
主人公である神崎 人(ジン)の出自は結構暗いものがあるが、ヒーローって日本の仮面
ライダーやサイボーグ009にしろ、アメリカのスパイダーマンやバットマンにしろ、結構
ヒーローになった理由が暗いよねえ。むしろこの影の要素が魅力の一つと言うか。そういう
意味では、この作品もやはりダークヒーローものなんだろうなあ。
ジンが生まれ持った理由でプレイヤー狩りをやらざるを得ないのに対して、もう一人の
ヒーローであるアルファスこと天城 高雅(コウガ)はテレビアニメのヒーローものに憧れて
ヒーローを志す存在。ゆえにやたらと形から入るところがなんともおかしい。
人を越えた能力を持つヒーローと、人が技術によりヒーローになるというダブルヒーローの
設定は、特撮ものの「仮面ライダー アギト」を思い出す。
ジンが祖父的存在の神崎 悟郎からの教えで被害者を救うことを最優先に考えているのに
対して、コウガはやはりヒーローものへの憧憬から始まったためか加害者を倒すことに重点を
置いてしまう。
ジンがその場その場の感覚で動いているためか、結果としては柔軟な印象が強く、逆に
コウガは真面目な性格もあってか、「正義とはこういうものだ」という枠を自身に定めて
おり、そのためにどんどん迷走していく過程がよく描かれていた。
この二人の対照的な正義を通じて、「正義とは何か?」を問いかけるような作品にはなって
いたように思える。
このようなテーマはリアルタイム放映時に同時期放映されていた「Fate/Zero」の
衛宮 切嗣の考える理想にも通じるようなものがあった。
アニメとは外れてしまいますが、こういったテーマに興味がある人はマイケル・サンデル
著の『これからの「正義」の話をしよう』がお勧め。中田 二郎がコウガに突きつけた
テスト?のようなものが多く出てきます。