たつじん さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ほろ苦く後味残るような・・・
まずこの作品は、そのタイトルとぬいぐるみに囲まれている「アリス」から連想させるようなファンタジーや萌えストーリーではありません。
主人公はちょっと存在感に欠ける高校生「藤島鳴海(ふじしまなるみ)」のほうで・・・
都心渋谷を舞台に、彼を一人称として、その周囲で起こる反社会的事件を描くシリアスなヒューマンドラマです。
「援助交際」「暴力団」「ドラッグ」など・・・
決して明るいテーマではありませんが、あまり深堀りせずライトなタッチで描いていることと、メインキャラクターの魅力で緩和しているのでさほど暗いイメージは受けないと思います。
特に「なるみ」の心境は、心のつぶやきと表情でうまく描かれています。
またNEET探偵「アリス」の冷淡で理知的に聞える言葉と、時折見せる愛らしい仕草や表情のギャップは、アリスの愛飲物である「ドクペ」のような・・・
一滴の清涼剤として癒されることでしょう。
探偵の役目を「死者の代弁者」と語る「アリス」は、ネットや探偵団員からもたらされた情報の「点と点」を、その洞察力で「線」として結びつけます。
ただ、それは生きて残された者にとってはつらく悲しい真実・・・。
ところでこの作品は大きく6つのエピソードに分かれています。
エピソードによっては、その短さゆえに内容が十分に伝わらず、物足りなさを感じるかもしれません。
ただ5~8話と10~12話の2つのエピソードは、思わず引き込まれてしまうストーリーです。
この作品の評価が二分しているのは、ここに原因があるのでは・・・?
などと個人的に思ってしまいます。
画はリアルで丁寧に書かれており申し分ないです。
またOP曲の「カワルミライ」もPCキーボードのキーとリンクさせるピアノ旋律からENTERキーでアップテンポに切り替わるのも小気味良い演出ですね。
正直なところ作品を観終わって「楽しめた~」という爽快感は得られないと思います。
ほろ苦く後味残るような・・・といったとこでしょうか。
ただ個人的には好きな作品です。