らすきき さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
おとといは兎をみたの。昨日は鹿。今日はあなた
二週目を見終えたので今回見て新たにわかったこと等感想を。 まずは今回はブルーレイで見たのですが、やっぱ綺麗でいいですね。 素晴らしい!
内容的には前回同様風子で泣き、他にも見所満載のアニメだったのですが、今回特に収穫があったのは『おとといは兎をみたの。昨日は鹿。今日はあなた』の意味を知ったことですね。
これはことみ編で随所に出てくる言葉です。
この言葉が気に入ってネットで調べてみたところ、昔の海外のSF小説の一節だったようです。
サイト巡っててわかりやすいのがあったので以下転載します。
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~ Day before yesterday I saw a rabbit,
and yesterday a deer, and today, you ~
「おとといは兎をみたわ。きのうは鹿、今日はあなた」
これは「The Dandelion Girl」(訳題:たんぽぽ娘)で少女が語る台詞です。
もう50年近くも前に出版されたSF短編小説で、今では絶版になっているそうです。
ことみが一番大切している「古い革の表紙の本」は、このたんぽぽ娘なんですね。
そしてことみシナリオで最も重要なシーンで、彼女は言います。
「一昨日は兎をみたの。昨日は鹿、今日はあなた」
これは、ずっと家でひとりだった彼女が、「今日は朋也を見つけた」、
「ずっとひとりだったけど、朋也は私のそばにきてくれた…。ありがとう」
という意味で言ってるのだと思っていたのですが、
「たんぽぽ娘」を読んでからもう一度聞くと、全然違うように感じました。
というわけで、ざっくりと「たんぽぽ娘」のあらすじでも。
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休暇を静かに自然の中で過ごそうと、山小屋を訪れていたマーク。
一緒に来ていた妻は急な用事で先に街へ戻ってしまい、彼はひとりでゆっくりと休暇を満喫していました。
心配事といえば、最近なにか不安そうな目を見せる妻と、息子の将来について程度。
それでも休暇くらいはと、静かな生活を楽しんでいました。
そんなある日、彼は丘でひとりの少女と出会います。
彼女の名はジュリー。
たんぽぽ色の美しい髪に白いドレスの少女。
そのドレスは、綿菓子と海の泡と雪を混ぜ合わしたような不思議な白色をしていました。
年はハタチほどで、44歳のマークには子供にしか見えないはずなのですが、それでも彼は彼女に恋をしてしまったのです。
ジュリーは不思議な娘で、自分は「タイムマシンで未来から来た未来人だ」と言います。
未来では失われてしまった自然や動物を見に来ているのだそうです。
「おとといは兎を見たわ。昨日は鹿。今日はあなた」
そう言って笑うジュリー。
マークもその話にのってあげ、二人は楽しく会話を続けます。
未来では自然も動物ももう見れないという事。
本が好きで、そこに書かれた自然や動物が大好きとだという事。
ジュリーの父親が、タイムマシンを発明したのだという事。
そして、タイムトラベルは普通は許可されていないのだという事も、
タイムトラベルは過去に干渉して歴史を変えてしまいかねないので、特別な許可がないと出来ないのだそうです。
しかしジュリーは許可を取らずに来ていました。
それは父親がマシンを作成していたから可能であり、父親自身の「理論」を信じているからでした。
父親の理論とは、
「時間」とは唯一にして絶対であり、未来人が過去に戻っていくら干渉しようと、それは変えられるようものではない
…というもの。
彼女は父の考えを信じています。
そして、大好きな自然や動物や「書物」に会うために、それを大好きな父に話して聞かせるために、この時代へ来ているのだそうです。
危険を冒してまで。
マークはその話を信じたわけではありませんでしたし、そもそも彼女が嘘をついているかどうかなんて興味はありませんでした。
ただ彼女と一緒に、穏やかに話ができればそれでよかったのです。
この丘で彼女と会い、お喋りをして「また明日」といって別れる。
それだけの穏やかな日が繰り返されました。
そんなある日、彼女は姿をみせなくなります。
心配するマークの前にふたたび現れた彼女は、いつもの白いドレスではなく、黒い喪服を着ていました。
…お父さんが亡くなったの…
そういって泣き崩れるジュリー。
しかも彼女は、無断でタイムトラベルした罪で時空警察に追われているのだそうです。
そのうえ、タイムマシンが故障しており、もうここへは来れないかもしれないと…。
別れ際、「また会えるよな?」と尋ねるマークに、ジュリーは答えます。
「そのつもり。でもダメだった時のためにこれだけは覚えていて欲しいの…」
「…あなたが、好きです」
その後、彼女がマークの前に現れる事はありませんでした。
彼はジュリーを探して街を訪ね歩きますが見つかりません。
家に帰ると妻がいますが、いつも考えるのはジュリーの事ばかり。
夫婦の会話は少なくなり、妻の不安そうな目はさらに深く暗くなっていきます。
そんなある日、マークは自宅でスーツケースをみつけます。
それは妻のアンが、結婚した際に唯一持ってきたものでした。
妻は中身については秘密にしていましたし、マークも開けて見た事はありませんでした。
彼は鞄を開けます。
そしてその中から現れた物は…
…綿菓子と海の泡と雪を混ぜ合わしたような、不思議な白色のドレス。
ジュリーのあのドレスでした。
妻は、ジュリーだったのです。
時空警察に追われた彼女は、最後のタイムトラベルでマークの若い頃の時代に跳びました。
そしてそこでわずかな望みを託して、20年前の彼に会いに行ったのです。
…偶然を装って。
彼女が託したわずかな望み。
それは父親の理論でした。
~時間とは唯一にして絶対であり、未来人が過去に戻っていくら干渉しようと、それは変えられるようものではない~
つまりそれは、未来も過去もなにも変わらない、変えられないという事。
マークの「私に優しくしてくれた」という好意は、過去の彼でも同じように持っているのだ…という願い。
気持ちは変わらない。
好きという気持ちは、現在過去未来…なにに干渉されようとも普遍で揺るがない…はずだ。
そんな願いを支えにして、彼女はマークの前に「戻ってきた」のです。
そして、妻の不安そうにマークを見る目の訳にも気づきます。
彼女は、今年の休暇に、夫が丘で少女に恋をするのを知っていたのです。
それは彼女にとって、遠くせつない記憶です。
そして彼女は不安になったのでしょう。
年老いた今の自分と、若くはつらつとした20歳の自分。
愛する夫の目にはどう映るのだろうか…と。
妻の不安の理由を理解した瞬間、マークの頭からジュリーの事は消えていました。
彼は雨の街の中、帰宅する妻を迎えに行きます。
そしてふたりは20年ぶりに再開し、愛を確かめあったのです…。
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ということらしいです。 アニメは渚がメインヒロインですが、原作であるゲームはマルチエンディングなので、ことみルートを進めば当然ことみと結ばれるわけですね。 そうなるとことみルートとこの『たんぽぽ娘』はうまくリンクしているなと思いました。 OPのことみカットでたんぽぽの花を飛ばしてるのもこういう意味があったのねと感心です。
見直すと新たな発見があるのはおもしろいですね( ´ー`)
原作で朋也がことみとの過去を思い出したときのシーンもたんぽぽ娘を踏まえると理解できますね。
朋也「君はタイムマシンでここに来たんだね」
ことみ「あ……」
ことみが瞳を見開いた。信じられないというように、俺のことを見据える。俺はただ、言葉の続きを待つ。そして、ことみが口を開いた。
ことみ「ええ。わたしのお父さまが発明したの」
朋也「なら、ここにはよく来るのかい?」
ことみ「もう何度も。ここはわたしのお気に入りの時空座標だから。何時間いても飽きないの。ここから見えるものは、みんなみんなすてき。おとといは兎を見たの。きのうは鹿、今日はあなた」
そうして、本当に幸せそうに笑った。