パセラン さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
見た目は完璧、掘ると・・
宮崎駿監督作品
スタジオジブリ長編アニメーション13作目
原作:魔法使いハウルと火の悪魔
うーん・・・
表面上は興行収入が示す通りの感動ヒット作なんですが、
何回も観直すとあちこちにテーマの”ほつれ”を発見してしまい
結果、よく分からなくなる作品ですね~
しかしジブリにしか成せない芸術性は健在!
作画ではヨーロッパの山岳地帯を思わせる美しい風景や
ひとつひとつに命を吹き込むような物の在り方。
音楽では久石譲さんプロデュースの「人生のメリーゴーランド」や感情移入を手助けるbacksound。
ワンカットワンカットに魂が込められているのを感じとることが出来ます ^^
ですが・・作品のテーマに迫るとどうしてもブレが生じ、
戦争とハウルの過去を投じることで誤魔化しているようにしか見えません。
キャッチコピーは「ふたりが暮らした」「愛する歓び」などですが
そもそもソフィーとハウルは人を愛する前に
自分の抱くコンプレックスや乗り越えられない壁を克服できたのか?
ソフィーは自身の地味で冴えない容姿に自信を持てず、
しがない帽子屋を継ぐことが自分の使命だと思い込み生きる少女です。
そんな彼女が突然「あなたを愛してるの!」なんてw
ハウルは本気で人を愛することができず声をかけキザに振る舞うも、本当は臆病者の青年です。
そんな彼が突然頼もしくなり「守るべきものができた、君だ」なんてw
つまり、精神的な成長の過程がすっぽ抜けてるんですね。
そして最後に原作から入った側から言わせて頂くと、
ズバリ「原作への愛を感じない」です。
原作の内容をことごとく変えて作っているのに
動く城・色の変わるドア・追いかけてくるかかし・流れ星のような姿をした悪魔
インパクトのあるおいしい要素は持っていく・・
まさに使ってポイですねw
私はたまたま原作を読んでいたので深入りしてしまいましたが、
単純に何も考えずに観れば大人も子供も楽しめる長編アニメーションだと思います)^o^(
ぜひキャラクターの喜怒哀楽の表情に注目しつつ
宮崎ワールドにどっぷり浸かって観てください~