ヒロトシ さんの感想・評価
3.4
物語 : 2.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
テーマに足をすくわれた作品
最初に断っておきますが、私は映画ありきの作品は好きではありません。アニメに限った話ではありません。作品が好評で映画版や後日談SPが作られるのは構いません。ですが、最初から映画版を見ないと作品の真の評価を得られないという姿勢を制作側が抱いているのはおかしいと思います。視聴者の人がそういうスタンスを肯定するのは批判するつもりはないです。ただ制作側がそういうスタンスであるのは、逃げ道を用意しているようでどうも好きにはなれません。それを踏まえた上で私なりの東のエデンへの感想を書きたいと思います。
{netabare}という事で映画版ありきだと思えば許容範囲なのかもしれませんが、そんな事を考慮しろというのは、当時の視聴者には全く関係のない話なので、あくまでTVシリーズのみを前提として考えた場合、描きたかったテーマは現代社会の抱える問題点を突いていて、こういうのをアニメで描くのは面白そうだなとは当初思っていました。しかも神山監督だったので、ちょっと期待しすぎた分、悪く見えた所がありますが、やはり粗が目立つ作品だなと印象は拭えません。
テーマ自体は悪くありません。ですが、それにしたって現代社会の問題点をまだ社会に出ていない学生主導で見る視点というのがちょっと違和感がありました。若い人だからこそ、日本社会を立て直せる!という強い説得力を持つ・若しくは魅力的なキャラがいれば、私の意見は間逆だったかもしれません。逆にこうした設定を盛り込む事で、話を面白く見せるという意図が制作側にはあったのかもしれません。ただ当初素性の分からなかった滝沢は置いといても、ヒロイン達大学生の台詞がどこか現実離れしていて、考え方も学生気分から抜け切れていない印象を受けました。テーマ設定に足をすくわれた気がしますね。それ自体を削除して考えると、マネーゲーム(と呼んでもいいのか微妙な所ですが)の稚拙さを考慮しても、盛り上げる所はキッチリと盛り上げていましたし、主人公である滝沢の良くも悪くも飄々とした性格が、作品の雰囲気を形作っていましたのでその点は評価すべきかなと思います。
作品の真の評価を確かめたいのならば、他の方もレビューに書かれているように映画版までキッチリ見ることをオススメします。ですが、あくまでTV単体の場合、私は厳しいと感じているのが正直な感想です。色々勿体無かったですね。{netabare}