みかみ(みみかき) さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
終末願望をかなえる作品
やはり、世紀末の中二でなければ、AKIRAのおもしろさ、を再び、受容するのは難しいのではないか、とおもう。エヴァもそうなんだけれども。
「ノストラダムスの予言」という大変インチキなはなしが、日本国内では80年代から90年代にかけて流行していたわけで、、、まあ、べつにノストラダムスの予言が、えらく適当でインチキなはなしだなんてことは、だいたい、みんなわかっていたのだけれども、10代の少年少女諸君の一部というのは、多くの時代で、世界のおわりがおとずれる日、というものをファンタジーとして欲望している。
「ノストラダムスの大予言」と、「環境破壊で地球が滅ぶ」という二つのおはなしは、セットになって、90年代のティーンズたちの世紀末願望というのを代替していた。環境破壊というネタが用意されるより、前は核戦争というものがその想像力を代替していた。
いずれにせよ、重要なことは「滅びたあとの世界」というものと、われわれは人生のうちのある時期以後、面とむきあわなければならなくなる、というイメージだ。
そのイメージを強力にうえつける役割を担ったもののなかでも、とくに大きな役割をはたしたのは、この『AKIRA』という作品だった。AKIRAの終末描写は、どちらかというと核のそれに近かったけど。
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10代当時のいたいたしい自分は、とにかく、終末がくる、という想像をおそろしい、と思いながらもその一方でごく退屈な日常がくずれてしまえばいいのに、という、今にして思えば、とてつもなく凡庸な欲望を抱く子供だった。
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世紀末、というトピックにこれといって興味のない立場から『AKIRA』についてコメントするのであれば、『AKIRA』はアニメの映像のリアリティの水準を大きく変えた傑作、であるというあたりのことが、一番おおきなトピックになるのだろう。
それは、もちろん、そうなんだけど。そんなことよりも、重要なことは、とにかく、これが滅びたあとの世界、だったということだ。
あの魅力を、当時の感受性を思い出して述べよ、といわれてもけっこうむずい気がする。「滅び」とか「再生」とか「生き延びる」とか、そういう言葉の重みがぜんぜんイメージ違ったからなぁ。新興宗教とかにハマってるほうが絶対、これ面白いと思われ。