みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
あかるいエヴァ
エヴァをきわめてポップに、して洗練させたような作品。後半のほうは、しょうじき今一つなんのはなしやらよくわからないところがあったが、前半はきわめてよくできている。
■ザ・エヴァンゲリオン・メソッド
で。この作品を見て考えたのは脚本のシリーズ構成を行った「佐藤大」という脚本家の存在で、この作品は彼の代表作といってもいいだろう。『エースコンバット3』の脚本や、『攻殻S.A.C』『東のエデン』などにも脚本として参加しており、わたしのなかではエヴァ以降に出てきた、優秀なエヴァ、の模倣者だと思っている。
具体的には、おおむね次のようなものだ。
キャラクターとしては、
・暴力的で、ごくパターナリスティックな介入を行う父親的存在(碇ゲンドウ的キャラクター)
・パターナリスティックな介入を行う血の繋がらない母親的であり姉的でもある存在(ミサトさん)
・無口な美少女(綾波系キャラクター)
・あるていどうじうじした主人公の少年
といったものを軸に、
・思春期の少年・少女の悩みと、セカイの救済が直結
・暴力衝動の過剰な表出(惨殺シーンなど)
・思春期特有の素朴な「正義」感からはじめて、中盤以後、相対化されていく「正義」の描写
・中盤以後で、ほぼ全員が精神的にテンパっていく展開。(状況のプレッシャーが高まるので)
などといったシーンが展開されていく。
基本的な道具立てとしてはここは、もうあんまり変わらなくて、どういう心境で、佐藤大はこういう仕事をしているのだろうか、ということがわたしは不思議な気分がいつもする。
単にエンターティナーで商売人で、思想性が皆無な人間の仕事…というようにもとても思えないが、何かごく特殊な欲望につきすすむガイナックスの人々のような奇天烈さもない。
この佐藤大の絶妙なバランスの保ち方、こそがなんだが、ビジネスとしてアニメ界隈にいる頭のいい人たち、の人生観というか達観というか、何かそういうようなものを感じ取ってしまう。
■関連しそうな作品
なお、アニメ系のひとはあまり触れていないかもしれないが、『エースコンバット3』もがっちりと佐藤大脚本そのものなので、たぶん、エウレカが好きな人は絶対にはまるだろうと思う。
また、エヴァの模倣者、として、ほかに『ガンパレードマーチ』もまた、極めて秀逸なエヴァの模倣になっている。ただ、ガンパレ、のエヴァの模倣と、エウレカの模倣の仕方では、いろいろと距離の保ち方が違っていて、比較してみるとおもしろいかもしれない。