みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ある意味でヤバい
サンライズがきっちりとお金と人材を投資して作った萌えアニメ。で、まあ、エンタテインメントとしては実に「しっかり」とした作りで、そこらへんの安心感はさすがの職人技だという感じがする。
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ただ、萌えアニメなのはけっこうなんだが、さすがにそれはヤバくないか、と思う描写が後半に一か所…。14歳と30前後のおっさんがヤッてるとおぼしき描写は、いかにソフトであるといえども、海外にもってくと、それはヤバいだろうと。
非実在青少年問題にかかわる論点として、もし本作が「擁護」すべき対象かどうかとなる、と若干、戸惑う。
これが、志村貴子作品だとか、『パンティ&ストッキング』であれば、まったく問題なく「擁護」派をきどることはできる。それは、『パンティ&ストッキング』の表現が「誰が見ても問題ない」と思うからではなく、「主要な視聴者層は、なぜ、この題材がこのように表現されているかを理解することのできるリテラシーの高さがある人が多い」と思うからだ。もちろん、そうでない人が見ることは多いだろう。それはゾーニングによって解決すればいい。
一方で、本作は、問題のシーンは、この描写を一体、どう解釈すればいいのかを充分に検討しうるだけの視聴者層に向けているわけではない。本作は、ゾーニングの問題では解決しない問題をはらんでいる。これはなかなか難しい。
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むろん、最終的には、本作は、擁護されるべきものの範囲内に含めてしまっていいのかもしれないが、大手を振って権利を主張しやすいタイプのものではないだろう。「表現の自由」の名のもとに、こういう欲望を「おおっぴらに肯定」することは、社会的コンセンサスを得る必要はある。むろん、この欲望が「ある」ことや、「表現される」こと自体はまったく問題ないが、「おおっぴらな肯定」文脈とは切り離すための操作は必要とされるだろう。その意味で、これを表現する文脈や、場所については、ある程度センシティヴに問われていい。
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まあ、そういう意味で、わたしのこの手のポリティカル・コレクトとコンテンツ表現のかかわりについて考えさせてくれたという点では印象的な作品になった。
繰り返すが、エンタテインメントとしては、素晴らしい。ただ、これを伝統的な<ブンガク>文脈に載せて肯定するには、かなりアクロバティックな議論を経由しなければ難しく、なかなかどうしたものか、という感じ。
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なお、本作の人気は、アニオタ界隈全体では、もうちょっと高いはずであり、あにこれ内人気は予想よりもちょいと低い印象。
たとえば、Wikipediaの編集回数ランキングではワンピースの次につけるという人気っぷりである。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1191093.html