みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
ある意味で、現実的な欲望
まず、この作品は、コメディとして非常によくできている。面白い。特に序盤はよくできている。
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で、できる妹が実はエロゲ好きのオタである、というのは本作の表面上の設定としては、「どうしようもない妹www」ということになっている。
……が、そんなわけないではないか。
理想の妹が、リア充だったりスイーツ(笑)であって、オタクを蔑視してくるよりも、本人自身もオタクで、オタクとしてのアイデンティティをかかえながら、一緒にオタクをしてくれたほうが、確実に現実的な「彼女」の候補になるだろう。そこのところの欲望を、あえて、前面にだしては肯定せずに、「どうしようもない妹」として、否定的に書き出すというあたりが、なんともいえぬ恥じらいすら感じる。
ラピュタの「シータ」的なヒロインとか、別にあんなものが現実に存在するだなんて、誰も思ってないし、現実に存在したとして付き合いやすそうでもないんだから、こっちのほうが、「夢を見すぎていない俺」の、妙に中途半端に現実的な欲望、だろう、と思う。だからこそ、この作品をみるのは、なんともいえず、気恥ずかしいものを感じる。そこまでストレートにバカではない人間が、必死に虚勢をはりつつ、けっきょく欲望を仄見えさせてしまっているような。
後半は、コメディというよりも、そうしたかわいらしい虚勢をはった欲望を、あまりに素直に出しすぎていく感じがあらわで、見ていていささか厳しい気分になった。ちょっと、おまえらもちつけ…と。
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そもそも「ツンデレ」というジャンル自体が、現実とフィクションとの妥協のすえに、フィクションを夢見続けるための、よくできた装置だったと、わたしはおもっている。現実の女は、結局、扱いずらいんだよ、結局。どう考えても。
なんだから、扱いやすい理想の女性、みたいなものだけをフィクションのなかに登場せておくのは、さすがにいろんな意味でよくないよね、というのもあり、生まれてきたということが「ツンデレ」発展の、ひとつの要因だろう。
そういう路線からすると、ある意味で、本作は究極的だと思う。現実との一定の妥協をつけつつ、ファンタジーを欲望するという、ことにおいては、本作は非常にわけのわからん何かになっている。