みかみ(みみかき) さんの感想・評価
4.0
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
視点の相対化装置としてのギャグ、の最高峰
コメディ系のアニメとしては、一番好きかもしれない。
好きな話数を挙げる。
1.まず、一話後半の「妥協無用のホステージ」は印象的。おもしろいだけでなく、驚異的にわかりやすい正義の相対化でもある。
2.第五話後半「善意のトレスパス」もよかった。なにげに、善意の残虐さをベースにしたコメディが圧倒的。
3.最終話、「五時間目のホット・スポット」もすばらしいパロディ。『無限のリヴァイアス』的な閉鎖空間における権力/期待のどろどろとしたまじりあいを、これだけ短い尺で、これだけ効率的に相対化してみせるギャグを展開しているのは、見事、というほかない。
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ギャグ、というのはすぐれた視点の相対化装置である。それまで大切にされてきた価値や物語を、かるがると相対化し、ときにはそれを貶めることが可能である。
誰もきれいな相対化に成功していない対象を、きれいに相対化してみせるギャグは、何よりも貴重だ、とわたしは思っている。
むろん、それは相対化される対象に強い思い入れがある人間にとっては決して愉快なことではない。しかし、誰も相対化に成功してないものを相対化してみせる、というのはそれもまたとてつもない勇気を要する偉大な仕事である。
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なお、本作をのぞけば、こうした相対化装置としてのギャグ、という点で高度な達成を遂げているのは、『海月姫』だろう。東村アキコはすごい。