みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.2
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
わたしは紛うことなき原作厨であることがよくわかりました。
結論:ひぐらし未体験の方は、原作をやってください。もし、原作の絵がキモいなら、せめてPS2版をやりましょう。
---------------------------
「『ひぐらし』(原作のPCゲーム)は、日本の物語文化史上におけるあまりにもすばらしい業績だった、と思っている。もう、ほんとうに、バルザックとかの世界文学と並んでしまって、特に問題ないでしょう、本当に。」
ということを、わたしは繰り返し繰り返し真顔で知人に話してきました。そういうわけで『ひぐらし』(原作)に対する評価は、エベレスト級に高いです。
*
で、そんな原作厨のわたくしですが、アニメを一通り見ましたが、原作厨によくあることとして、「原作の良さが活かせていない!」というような、よくあるイタい感想をベタに抱いたわけです。
*
主に気になった点は
1.社会空間の描写がおざなりだったこと
2.恐怖表現等のいくつかの表現があまりにステレオタイプであったこと
という二点です。
■社会空間描写の減少
とりわけ一点目は、わたしにとっては、極めて大きな点です。要するに、オッサンとかおばはんの表現が…雑すぎてワロタ…という話です。
社会空間――すなわち「村」における政治性とか、会話のなかでの相互行為、慣習の立ち上がり方/「警察」などの公的権力の介入のたくみさ、といった空間のたちあがりかた――の描写が、アニメでは極めておざなりです。
わたしにとって、『ひぐらし』が歴史的傑作であると考える理由の、最大の点はその点にあったため、この点が抜き取られてしまうと、単によくできたエンタテイメントコンテンツだ、ということになってしまいます。別にそれはそれでも、いいっちゃいいのでしょうが、ミステリーホラー&ギャルゲー作品だというだけの作品をわたしは、エベレスト級の絶賛していたわけではないので、とてもがっかりしたものです。
■表現がストレートすぐる
2点目、表現がステレオタイプである、という点については原作の絵の下手さ加減とかを比べれば「どの口が言うか…」というところもあるわけですが、恐怖表現などで目をおっきくしちゃうあたりとかは、「えーっ、やだー」みたいな。女子高生が駄々こねるような声を出したくなりました。
(まあ、原作の絵ははっきり言って、はじめてみると「キモ!」と感じられてしかるべき水準の何かなんですけどね…)
*
そういうわけで、本作を見てがっかりしたことで、わたしが原作(PC版)だけを深く愛する、原作厨であるということがよくわかりました。
むろん、元となっているものが、あまりにも素晴らしいものなので、上記の二点をさっぴいたとしても、それなりのものにはなっているのだと思います。ただ、原作最高!な人からすると、どうしても劣化版にみえてしまいました。
■
なお、
2chのスレで「原作厨がウザすぎるアニメ」というスレッドがありますが、そのほとんどが、「ひぐらし信者がうざい」という意見で占められております。
ごめんよ…。
原作厨がうざくてごめんね…
だって、マジな話、原作のPCだけが最強すぎて、PS2版/アニメ版/漫画版 ぜんぶ劣化版にしかみえないんだ…おれ…
まあ、別に、原作厨として他人をDisったりしたことはないですけれども、まぁ、ほら、なんていうか、
気分的に、言うと
最高級のA5ランクの牛肉を、
一食400円ぐらいの、駅によくある富士そばとかで働いてるパートのおばちゃんが、急いで料理しちゃったのが、漫画版。
大戸屋あたりのファミレスチェーン店で調理してしまったのが、アニメ版。食いやすい料理にはなってる。
優秀だけれども、若くて未熟な料理人見習いの子が、ちょっと失敗気味に調理しちゃったのが、PS2版。
場末の汚らしい店なんだけれも、味にクセも強いけれど、実はマニア筋でめちゃくちゃ評価が高い超実力派……その料理人が時間をかけて仕込んだのが原作。
みたいな感じ。
どこで食っても、A5ランクの牛肉は出てきます。
ただ、素材の可能性を活かせてるかどうかは、まったく別。原作の絵がどうしてもって人は、せめてPS2版。