りゃむ さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
暫定、アニメの物語シリーズで1番
全体としてひたぎクラブ~つきひフェニックスに比べ暗く妖しい感じの雰囲気で物語が進行します。
これはあの三つ編み委員長の抱える闇がほかのヒロインズに比べて図式として単純明快ではないではないという点をあらわした演出なんじゃないかと考えます。
ひたぎ→家庭の崩壊や借金、人間不信というものはあれど過去に幸せであった思い出がある。これから幸せになれるであろう希望がある。救いのある物語
まよい→現世に未練を残していたものの暦に助けられることにより救われ、かつ自分という怪異の特性上死してなお孤独を味わい続けるもこれも暦によって救われる。
するが→ひたぎに対する片恋、暦に対する嫉妬に身を焦がし己を戒することができなくなるも2人からの許しという形で救いのある物語。
なでこ→スネイクではただの被害者であり、救われるべき人間。この子の闇については2013年アニメ化予定のなでこメデゥーサにて・・・
かれん、つきひ→ほかのヒロインズと違い根本的に怪異へのかかわり方が心の闇によるものでなく、それゆえに偽物語は全編通して明るめで良好な人間関係の上に成り立つ会話劇としての性質があった。
とまぁ長々書きましたがここまでが前作偽までのおさらいです。
そして今回
つばさ→もうどうしようもなく取り返しのつかない状況にあり救われる方法を持たない家族関係。それゆえどこまでも屈折して取り繕えなくなった翼の人間性。将来的にこれらはどうやっても救われることがないというカタストロフ。
こういう点で他のヒロインズたちの物語とは一線を画しているように感じますし、それを演出でうまく表現できていたのではないかと思います。
ここからは先に原作を読んでしまってオチを知っていたから生まれてしまった感想なのかもしれませんが(アニメの後に原作読んでも同じことを感じたと信じたい・・・)2点だけアニメで“あぁやっぱりあの文字による演出を視覚的に表現するのは難しかったか・・・”と思ったシーンがありました。
1、暦が羽川家に不法侵入して恐怖を覚え逃げ出すシーン。
声優さんの演技、アニメの描写でもたしかに素晴らしいのですが、原作で読むときほどの恐怖と衝撃を受けなかった。
2、暦と翼が最後に対峙するシーンで「死んじゃえ・・・」を連呼する場面。
原作では4ページにわたって“死んじゃえ”という文字列が並ぶんです。正直このシーンを新房監督がシャフトがどのように演出してくれるのか楽しみにしていた分“あーやっぱり難しいか・・・”という感想が生まれてしまいました。
活字文章という表現方法はイメージの上乗せ、あおりができますがアニメーションでは視覚的に完成してしまってる、つまり伝達する際の自由度が低くなってしまうという縛りがあるせいではないかと思います。
しかしながらこの2点をおいてもなお原作猫物語 アニメ猫物語双方僕の中で評価が落ちることはありませんし、物語シリーズに対するファンのすごく高いハードルをきっちりクリアしてくるあたりはやはり後世に残るいい作品なんだと心から思います。