みかみ(みみかき) さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
いろいろと思い出深いアニメになってしまった
2007年は、このアニメをいろいろな人に布教してまわっていました。そのかいもあって、何度も見直してしまった…。けれども、なんだろう。まあ、あまりに距離の近い作品になりすぎると、逆によくわからなくなる、という現象に陥っている。しかし、もう4年も前なのか。時間ははやいなーほんとに。
初見のときの感想を思い出してみると、
まあ、SugeeeeeeEEEE! というのがごく単純な感想で、まさかこれほどよくできたアニメをテレビでふつうに見せられるとは思っていませんでした…みたいな。
まあ、そのとにかくよくできてるんだよね。よく動くしさ。動くだけじゃなくて、「技術」の魅せ方自体が驚異的にうまいんだよね。ありえないクオリティ。
もちろん、攻殻だって、技術のプレゼンテーションはしているけれども、なんか攻殻までいっちゃうと、てんこもりすぎてよくわからないんだよね。雰囲気としては、あれだ、もう一歩ふみこんでわかりやすくすると、ドラえもんだよね。これは、もう。
でも、ドラえもんじゃありえないのが、最初にわたしのツボに入った「縦割り行政の弊害よ!神社は文部省の管轄だから、国交省の管理外なのよ!」ですかね。こういうネタ、仕込んでくるあたりいいよねぇ。これは、やはり結構、年齢がいった視聴者も巻き込んで楽しませるためのきっちりとした仕込みとしてほんと感動したもんです。
あと、強烈にすごいのは、おばばじゃないでしょうか。あの、「悪い子はいねがぁ」の圧倒的な迫力は、これほどものをわかった表現のできるひとがいたのか、と、ただただあきれ返るばかり。
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この作品に関する批判としては、ありそうなのは、ウィルスチェックだとか、コリジョンの処理だとか、ARの細かい技術的な部分だとかね。そういうのは、まあ探せばいっぱい出てくるとは思うし、わたしも、みていて若干のひっかかりを覚えるところは、まあ、探せばそこそこありました。はい。
でも、これだけ全体によくできていれば、ほかの山のようなヌルいSFと比べると、もう誤差の範囲といっていい気分……というのはほめすぎかもしれないけれど…。
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これを作った磯さんのことは本当に尊敬していて、アニメーターとしては「磯爆発」とよばれるような特殊な爆発描写の手法を構築した人でもあり、一度、彼のアニメーションにかんする話をたまたま聞いたことがあるけれども、本当にわたしなんかとは全く別次元の「動き」の把握の仕方をされていて感動した覚えが。
もちろん、宮崎駿にせよ、庵野さんにせよ、業界内でトップクラスに尊敬されている人は、みんなそうなのだろうけれども。
磯さんのこれからに、強く期待しています。
追記:某Uさんが、本作を、ロリコン妄想の産物とか言ってけなしていたようですが、それはさすがに、けなし芸のやりすぎ。挑発を商売にしている人の、商売の仕方そのものをダメだとは思わないけど、この作品に対してそういう挑発をするのはいただけない。
追記2:攻殻との違いについて
「こども版攻殻」との話もちょいちょい散見しますが、確かに未来の技術のプレゼンテーションをしながら、その社会空間を描くという点においては同じ視点のものです…が、先にも少し書きましたが
A:1つずつの技術の見せ方が攻殻よりも丁寧
B:知人のVRの研究者いわく、攻殻はだいぶ未来のことで研究段階ですら端緒についていない技術が比較的多いけれども、電脳コイルは研究レベルではすでにできている技術がけっこう多い。…らしい