「仏陀再誕-ぶっださいたん(アニメ映画)」

総合得点
49.1
感想・評価
23
棚に入れた
86
ランキング
7876
★★★☆☆ 3.0 (23)
物語
2.3
作画
3.3
声優
3.6
音楽
2.9
キャラ
2.7

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ネタバレ

入杵(イリキ) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

宗教アニメだが意外に面白かった

宗教団体,幸福の科学の創始者兼総裁の大川隆法の著書「仏陀再誕」(幸福の科学の経典)を原作に
大川宏洋(大川隆法の息子)が脚本を手掛けた宗教ファンタジーアニメである。

この映画は幸福の科学の信者の為に作られた為、知名度が非常に低いが、声優が豪華(子安武人,小清水亜美,吉野裕行,白石涼子,三石琴乃・・・等)なので視聴してみた。
因みに興行収入は8.6億円らしい。なのにこの知名度。

あらすじ

{netabare}
はるか昔、2500年前、あのインドにおいて、王子として生まれたゴータマ・シッダールタは人生の答えを探し求めて、その国も地位や名誉も妻子をも捨てて、出家し修行の道へと入った。そして流浪の6年ののち、ついに人類最高の悟りを得て「仏陀」となった。仏陀となったゴータマはその生涯をかけて、心の教えを説き、さまざまな人々を苦しみの境地から救っていった。それから幾多の月日が流れ、荒廃した現代の世を救うために、「仏陀」はこの地に再誕する。

桜岡女子学園の高校2年の教室、倫理社会の授業中に居眠りで山田先生に注意される女子高生の天河小夜子(あまのかわ さやこ)。ここで2500年前ゴータマ・シッダールタの人生が教科書に出てくる。

新聞記者の金本に憧れる彼女は、自身もジャーナリストを目指していた。ある日、その金本は汚職事件に関するガセネタをつかまされて誤報を出してしまい、これを苦にしてホームから電車に飛び込んで自殺してしまうのだった。

その死亡のニュースを聞いてショックを受けた小夜子は、精神的なショックから、そのときから霊が見えるようになってしまい、困惑した日々を送っていた。ある日、金本が自殺したところの駅のホームで、あやうく電車にひかれそうになる。その瞬間、小夜子を救ったのは、大学生の海原勇気 (うなばら ゆうき) だった。小夜子は、ふとあることで知った「ある言葉」に興味をいだきつつ、心配して「行くな」と止める彼の気持ちをよそに、放送番組で知った「仏陀」と名乗る人物の会合に行くことにした。

しかし、真実を求めて見えない世界の中をさまよいはじめた小夜子には、次々と恐ろしい魔の手が襲いかかる。
{/netabare}

おおまかな内容説明
{netabare}
この映画は幸福の科学が製作しているので当然宗教観は幸福の科学のそれになるが、登場する宗教団体に、「創○学会」がモデルと思しき操念会(会長は荒井東作)と、幸福の科学がモデルであるTSI(代表は空野太陽)があり、
荒井東作が霊能力で偽物の仏陀になり、日本を支配しようとするのを、主人公、天河小夜子とTSIのメンバーが阻止し、
空野太陽が仏陀再誕を宣言するというのが主なストーリー。
{/netabare}


感想
{netabare}
幸福の科学の信者でない私は、全体的にはどうしてもネタアニメ(幸福の科学の方、大変申し訳ない)にしか見えない。
主人公の小夜子は何故か突然電車の夢を見てから、霊やボディジャック、友達の裏の声(本音?)、仕舞いには世界史の教科書のアウシュビッツの記述を読むとユダヤ人たちの苦しみが聞こえてくるようになってしまうのがよく分からなかった。あんなのが日常的に聞こえたり見えたりしたのでは、映画が終わる前に自殺しているのではと思うほど。疎遠になり別れた彼氏がいるのだが、理由が宗教活動に嵌ったからというのもいかがなものかと。
また、政治スキャンダルを揉み消されて自殺した新聞記者が、死後の世界で「宗教を否定した」という理由で地獄に落ちてしまう。TVで荒井東作が念力を使うシーンは面白かった。
また、荒井東作の呪いで弟が奇病にかかるシーンは恐ろしかった。その弟が闘病中に何故か父親(主治医)は検査もせず家でパソコンをしている。母親も看病しないで家にいるし、信じられん。病室に空野太陽とオーストラリア人が表れて、悪魔祓いもどきをして呪いから解放するのだが、
ここで、父親が今まで宗教を信じていなかったことを悔いて号泣しながら空野太陽に許しを請う。一般人から見ると病気につけこむ宗教勧誘の卑劣さがよくわかるシーンだ。
また、医者はこんなに簡単に引っかからないと思うのだが。
他に、終盤で操念会はNBK(NHK)を占拠し、さらに民放各局を電波ジャックした。荒井東作は全ての電波を使って日本人全員に向けて衝撃の事実を発表する。その事実とは
「今から10分後に大津波が日本を襲って、日本は沈没する。しかし私に忠誠を誓った人は助かります。」
日本が沈没するときに、忠誠を誓った人だけがどうやって助かるのかさっぱりわからない。日本中の人々が困惑し、阿修羅地獄から召喚された悪霊に次々とボディジャックされていく。大和放送の放送室にたどり着いた小夜子は「荒井東作を見ちゃダメ!」と日本国民に警告し、空野太陽の遠隔パワーの助けを借りながらメッセージを代弁する。その内容は悪霊にボディジャックされている日本人たちに「自分が自分でないような感覚はありませんか?」と
訴えるものだったが、小夜子は空野太陽に操られて話しているので、自分もボディジャックされている。
荒井東作は最後の手段として小夜子を誘拐し、満員の東京ドームに爆弾を仕掛ける。 荒井東作と小夜子が空飛ぶ円盤に乗って東京ドームに現れ、荒井東作は小夜子に対して
「東京ドームの観客5万人の命を救いたければ、真実の仏陀が私だと宣言しなさい!」と脅迫する。
小夜子は5万人の命を無視して「真実の仏陀は空野太陽です!」と言ってしまう。どう考えてもおかしい。
荒井東作は逆上するだが、そこに空野太陽が登場して「自らの都合で法の教えを歪曲するな!」「仏陀の名を汚すな!」「自分を偉く見せるために、敵を作るな!」と説教する。
でもそっくりそのまま自分にも当てはまるだろうと思った。
荒井東作の体の中から大悪魔:覚念が出てくる。(袈裟を着ていることから大衆仏教の代表と思われる)
東京ドームで大悪魔と対決する空野太陽。大悪魔は東京ドームの観客を攻撃するが、空野太陽が天使となって観客を守る
空野太陽は光の剣を持ち、天使のような羽を生やし、大悪魔
を退治する。そして空野太陽は仏陀再誕を宣言する。自分が仏陀であると主張して「仏陀とは全ての権限、全ての価値観を決め、全ての正義だ」と発言する。
私は真宗なので「あれ?仏陀は唯一神だっけ?」と思ってしまった。どうやら一切衆生悉得仏性の概念は無いようである。
最後に天使が出てくるのだが、CGがプレステっぽいのが残念。EDは何故か韓国人歌手ウ・ソンミンが歌う「悟りにチャレンジ!」。作詞は大川隆法。
最高に面白い歌詞です。
http://j-lyric.net/artist/a0533f6/l01ea41.html
また荒井東作が改心し拝むクレジット有り。

最大の謎はこの「仏陀再誕」という設定(とういうか教義)。
仏陀って解脱して、輪廻転生から解放されたはずだが、
再誕してたら仏教そのものが崩壊するはずだが。

私は決して幸福の科学を批判する積もりは無いので、不適切な点についてはご容赦いただきたい。
{/netabare}

総評

大川隆法が日本に再誕した最高神仏陀で、日本を救う。
といのがメインテーマだろう。信者向けの。(幸福の科学の本尊ですから)

脚本を書いている大川隆宏氏はアニメに精通しているらしく、本作が信者以外でも楽しめる娯楽要素を多く含んだ作品に仕上がったのも彼の功績だろう。

信者でない人は、宗教ファンタジーアニメとして十分に楽しめる作品となっている。大変面白かった。

投稿 : 2013/05/01
閲覧 : 699
サンキュー:

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