たつじん さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
視点を変えると見えてくるもの
時代は、第二次世界大戦前のヨーロッパ。
架空の国、ソヴュール王国の聖マルグリット学園の学生で、天才的な頭脳を持つ少女ヴィクトリカと日本からの留学生 久城一弥(くじょうかずや)が難事件に遭遇し、それを解決していく物語です。
まず、このアニメタイトルから最初に思い浮かぶのは文字のゴシック体ですね。
でも、実際ゴシック体のスペルは(英:gothic、仏:gotique、独:Gotik)なので、この「GOSIC」は造語です。
しかし、この作品は一般的に使われているゴシックがつく言葉をモチーフに描かれているように思いました。
中世ヨーロッパのゴシック建築、モノトーン基調にレースのゴシックファッション・・・
そして幻想的で怪奇な雰囲気をもつゴシック小説です。
さて、このようにジャンルはミステリーですが、本格推理小説のように観ている側に「手がかり」を提示しておいて、「さあ、犯人は誰でしょう・・・トリックは・・・?」といった作品ではありません。
時折、ちょっと不条理なシーンがあったりして、観ていて若干の「もどかしさ」を感じるので、純粋な謎解きミステリーを求めている方には不向きでしょう。
数々の事件の謎を解くのはあくまでも枝葉であって、物語の根幹をなしているのは、大きな権力に翻弄されながら、ヴィクトリカが久城とともに自身のルーツをたどっていく物語ですから・・・。
そして、この作品は人として大切なことを伝えてくれます・・・。
{netabare}
最終話での久城の言葉
「何のために戦っているのかと考えてみたら・・・僕は大切な人たちを守るために戦っているんだ・・・。」
「君に会うために生きて帰りたい・・・大切なことを言いたい」
ヴィクトリカの言葉
「私はママの魂、・・・そして君は私の心臓、心臓である君が死ねば私も死んでしまうのだから・・・。」
お互いを強く想う気持ちは、どんな環境にあっても人種や国境をも越える・・・。
作者が伝えたかったメッセージじゃないでしょうか。{/netabare}
こういうレビューを書いてますが、私も一度目に観たときにはミステリーとしての物足りなさや、前・後半の作風の違いに違和感を感じました。
ただ二度目、ちょっと視点を変えて観ると、前半の展開はすべて後半を描くための序章であり伏線だったことに気付かされました。
それほどこの作品の内容は深いものです。
それにしても、この作品の画は美しいですね。
特にOPとEDアニメーションの描写は「素晴らしい!」の一言です。
それにヴィクトリカの人形のような可愛い容姿と、久城の優しさ漂う面持ちには惹かれるものがありました。