ヒロトシ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
私的熱血ヒーローのルーツ
91年当時でこれだけの作品が出来たというのは凄いと思います。王道ヒーローものと見せておきながら、話が進むにつれ、存在感が薄くなっていく主人公とそれとは逆に悪役ポジションなのに存在感が増していく九鬼麗。どこか憎めない性格、そしてお色気担当キャラとあってか、人気が出たのも頷けるかと。とはいえ、個人的にはいぶきちゃんの方が好みだったんですが。
この作品の特徴としては、やはりパロネタを混ぜてくる所が面白かったですね。いぶき役の人がセーラームーン役だったこともあって、セーラームーンの様な変身シーンで登場したワンダーいぶきとか(これすらもワンダーモモのパロなのだが)が印象的。作品にはさくまあきらと広井王子が絡んでいたので、これぞ90年代のノリ!というのを作中で徹底して披露していたと思います。九鬼麗がお色気担当と書きましたが、この娘も毎回負けては服を破かれ、ハイパー怨夜巫女変身時には一旦全裸にされる等、今考えれば凄い扱いをされていたと思います。しかも小学生なのに!今ではこんな作品作るのは無理ですよね。当時は規制がうるさくなかったというのも勿論ありますが、非常にパワーのある元気な作風を実現していたかなと思います。元々はゲームとの連動企画としてアニメもスタートしたようですが、全51話という話数が示すとおり、アニメとしての出来も申し分なかったのは凄いですね。(ゲームはやったことないので知りませんが)
ワープロ(ワープロというのが時代だなあw)を戦闘の肝に据えるというアイデアも新鮮で、対戦する敵のデータを収集してから反撃に転じていくというのがお洒落でしたよね。
作風自体は途中からは変わりますが、序盤は王道の熱血ものという雰囲気なので、その辺のギャップの出し方が上手く作品に作用していたかなと思います。合成獣のアイデアも面白くて、毎回色んなモノを合成させては凄い名前の合成獣を作り出したりしてましたね。人間を必ず入れるのがミソで大体は九鬼家の部下が犠牲になっていましたが、ごくたまに九鬼麗など、その他の人間が合成されることもありました。合成獣に使われる材料の意外性も手伝ってか、この要素は適度にマンネリ化を防いでいたようにも思います。
思い出補正もありますが、個人的にはワープロを使ってデータを収集して戦うという概念が当時の自分には新鮮だった事と、王道系と見せておきながら、実は斜め上の展開を見せる、子供向けアニメとしては変化球の作品という所が良かったです。イメージに似合わず最終回も上手くまとめていたのが好印象。