「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

総合得点
90.9
感想・評価
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ランキング
45
ネタバレ

ヒロトシ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2011年最高のアニメをありがとう

虚淵玄が名前を連ねた時点で、普通の魔法少女を目指すわけがない―と彼の作風を知る人には前評判からして期待されていた作品ではありました。ただここまでこの作品が話題になるとは誰も予想できなかったでしょう。死ぬはずだった自分の人生を最後まで魔女の殲滅に捧げたマミ、想い人の将来を願った結果、闇に落ちてしまったさやか、孤独な人生の中で自分の人生を賭けるだけの存在を見つけ、消えていった杏子。投げ込まれたループから、一つの希望の為に走り続けたほむら、そして自らを犠牲に全ての人達にとって幸せな世界を望んだまどか。この作品に出てくる魔法少女の辿る結末はどれも幸せとも不幸とも言える解釈が出来ます。自分はバッドエンドしか書けない―とかつて悩んでいた虚淵氏の答えがこの全12話に詰まっているような気がしてなりません。

魔法少女のお約束をあえて破るような設定と毎回見せ場を作る展開。ただシナリオだけでは作品はそこに存在できない。蒼樹うめと劇団イヌカレーといったビジュアル面を担当した人達がまどかの世界観にあえて反するようなデザインをした事で、魔女と相対する場面で作品の雰囲気がガラリと変わり、視聴者に相当な衝撃を与えた事は間違いないと思います。特にキュウべえの存在がデカイかなと。一見可愛らしい外見をしていながら、裏では何を考えているのかわからないという独特の存在感は視聴者にとって序盤から不信感を与えることに成功しましたし、そのギャップゆえにネタにされて人気が出たりもしました。魔法少女のマスコットというにはあまりにも特異なキュウべえが作品に入り込む手助けを果たしていたのは疑いないと思います。

それにしても新房監督は現代魔法少女作品には本当に恵まれているなあと思いますね。魔法少女リリカルなのはの第1期も監督はこの人ですから。骨組みは他のクリエイターが作っただろうにしても、作品としてきちんとまとめるという作業は思いの外大変でしたでしょうし、ましてや虚淵玄×蒼樹うめのコラボなど、お二人とも超がつくほど個性派な作風の人ですから、元々アニメ業界の人ではないだけに、一緒に仕事するとなると、その辺の調整で色々苦労したと思います。リリカルなのは2期以降は派手なバトルが主眼に置かれていて、あまり個人的には好きでない作風にシフトしてしまっていて、1期みたいな登場人物の心の描写を大切にして作品に反映して欲しかったなーと今でも思っているんですが、いや本当に新房監督で良かったなーと今更思いました。新房監督はぱにぽに以降のイメージがあまりにも強くて(シャフトもですが)誤解されがちなんですが、丁寧なテーマに添った作品も作れるのですよね。超演出に超脚本とか、ないわけじゃないですが、まどかに至ってはそれが全部プラスに動いているというのはちょっと奇跡なんじゃないかなと意地悪を言ってみたりします。

とにかく2011年を代表するアニメなのは間違いないでしょう。魔法少女というジャンルも今後ますます盛り上がるのではないでしょうか。リアルタイムで視聴して、総じて不満が見当たらなかった久しぶりの当たり作品でした。

投稿 : 2013/02/04
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