ぱるうらら さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
味のある世界観
『カウボーイビバップ』はオリジナルアニメ、全2クール(全26話)のアクション&スペースオペラアニメです。
この作品は物語・声優・キャラ・作画・音楽、全ての分野で素晴らしい完成度に為ってました。その中でも一番作品の雰囲気を作り出したのではないかとも感じられた、菅野よう子さんによるモダン・ジャズの原点とされる「ビバップというジャズ音楽」はアニメとしては珍しいですが、それはカウボーイ達が名を馳せていた西部開拓時代のアメリカを連想させ、ハードボイルドな登場人物達が闊歩するこの作品の世界感に非常にマッチしてました。さらに、古めかしい音楽を使っている割に実際は「2071年の火星を時代設定にしたSF物」というギャップもまた良いモノでした。ジャズだけではなく、アコーステイック・ギターを使ったブルース等もBGMとして流れ、まさに音楽が一種の世界観を作り出していたと言っても過言ではなかったのではないでしょうか。
物語に関しては、ハードボイルドを前面に引き出したクールでシリアスな話だけではなく、ちょっとおバカな格言や面白い言回しの会話だったり、ファンクな感じのギャグ回、テクノ音楽をBGMに流したギャグ回等もあってシリアスなムードの後にホッと一息付ける様になっていました。その中でも第22話の「カウボーイファンク」はギャグ回としてはとても面白かった。さらに感動的な話や哲学的な話等もあり、どの話もスルスルとその内容に引き込まれ、そしてどの話も内容が詰まっていたため存分に楽しむ事が出来ました。また、この作品は近年のアニメには見られない結末を向かえていて、その際に流れた楽曲がその場面にマッチしていたのもありとても印象的なシーンでした。
登場人物に関してはその声優達の力量もあってか、皆声優にマッチしていて違和感を一度も覚える事なく直ぐに馴染みました。登場人物は誰も彼も気質がハードボイルドかファンキーに分かれていて、その中でも主要と為る4人はある意味ではミスマッチでしあがその4人が集まってこそのカウボーイビバップと感じさせられる程其々のキャラが濃くてバランスが取れてました。サブキャラクターもハードボイルドな気質はもちろんの事、なかなか忘れられない様な癖のある人物やファンキーな奴ばかりだったが故、キャラが立っていて良かったです。その代表格が“アンディ”(笑)
作画はまさにビバップと言う言葉に合わせた感じ。OPシーンはルパンに似ていた様な気がしましたが。作画の中でも目が惹かれたのは二つあり、一つ目はメカニックのデザインで、スパイクが乗っている「ソード・フィッシュII」、フェイが乗っている「レッドテイル」、そしてジェットが操る「ビバップ号」など、どのデザインもカッコ良かったです。また「位相差空間ゲート」という円形物のデザインも男心をそそるが有りました。二つ目はアクティブな戦闘シーン。ガンアクションだったり空中戦だったり逃走シーンだったり、とにかく動きに躍動感が感じられたためアクションシーンとしての完成度は◎です。
毎週1話ずつ視聴していましたが、その期間に視聴していたどのアニメ作品よりも一番のめり込み、一番楽しみにして作品でした。各話の起承転結がしっかりしていたのでどの話も楽しむ事が出来、2クールにも関わらず飽きさせる要素も泣く、その完成度の高さには驚いたものです。この作品こそが至高の作品と呼ぶに相応しいのではないのでしょうか。