ろき夫 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
強く生きるために必要なこと、必要な作品。
主人公・中嶋陽子は日本の高校に通う、親や先生の言うことをよく聞く優等生。
クラスメイトの杉本優香は尖った性格で、クラスから孤立しており、皆の嫌われ者。
陽子は学級委員として杉本のことを気にかけるが、相手にされず悶々とした日々を送っていた。
そんな時、彼女たちはとんでもない事件に巻き込まれ、杉本の彼氏・浅野も共に異世界へと送られてしまう。そこは妖獣や神が当然のように、人と共存する世界だった……。
無事もとの世界に帰れるのか?
そして、彼女たちを待ち受けていたのは衝撃の事実だった。
本気を出したらスゴイ・NHKの本気の傑作。その名も『十二国記』!!
本作は古代中国をベースに構築された異世界を主な舞台としたハイ・ファンタジーで、話の内容には教訓や訓示が詰め込まれています。その作風は三国志などの軍記ものを想像させますが、原作を執筆された小野さんは女性作家ということもあり、人物の心情描写が丁寧で奥深さがあります。
えげつないまでの内面描写に思わず息を呑む場面も。
「キャラクターが生きている!」
とこの作品をご覧になった方々が口をそろえて、そう評価されるのも納得です!
なので説教臭さが無く、より感情移入し易くなっており、アニメとして丁度良いバランスで楽しめる内容になっているかと思います^^
「苦労は人を育てる」という言葉があります。
しかしこれはある一面では真実で、ある一面では嘘だと思っています。
過酷な環境は人をより屈曲させ、醜くしてしまう。そういうことだってある。
自分一人でも乗り越えられる強い人もいるかも知れない。
けど、そうそう強くはなれないし、失敗を犯さないほど賢くもない。
少なくとも私はそういう人間ですし、この物語にもそんな人物がたくさん出てきます。
でも必死に生き永らえて足掻き続ければ、気づいてくれる誰かがいる。
一人では乗り越えられない壁でも、人の助けがあればどんな壁だって乗り越えられる。
自分一人では限界があるけれど、皆となら乗り越えられる。
この作品ではそういった人の助け合いをテーマに描かれている気がします。
こういうことって文書に起したり、口で言うのは簡単ですよね。
でも常に心に留めておくのは中々に難しい。
辛いことがあるとそんな当たり前のことを忘れて、自分一人で生きているような気になってしまう。
生きる上でとても重要なことを再確認出来るような滋味溢れた重濃なストーリーを体験させてくれます。
名作とは知っておきながら、全45話という尺の長さから引け腰になっていました。
でも今なら迷わず見ておけば良かったと思っています。
章ごとに分かれているので、まずは一章(1~14話)をご覧になって決めても良いかと思います。十分面白さは伝わるでしょう。
けど周囲の評判的にも、個人的にもやはり三章(23~39話)が一番面白いですね。
(とは言っても、一、二章あってのものだけど)
描写が丁寧なので、好きになるキャラが沢山いましたが、特に祥瓊(しょうけい)が好きです。
彼女の口ずさむ歌の歌いだしのタイミング、歌声はその瞬間の彼女の内面を如実に表している気がして、聴く度にゾクッとします。
第二章の話など、所々消化不良か?と思われる所もあり、続きが気になります。是非完結させて貰いたい作品ですね!(^ω^)