ワッキーワッキー さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
癒し系と思ったら…
違いました。原作未読であまり予備知識もなく、雰囲気から癒し系を想像して、視聴しました。
中盤のドロドロはかなり目を背けたくなるシーンが多く衝撃的でした。
それと、なんか見たことあるストーリーだなと思ったら、お願いティーチャーのシーンだったなと思い出しつつ観ました。
また、美羽役の声優さん、迫真の演技で適役だとは思いますが、残念ながら私はハルヒに聞こえてしまい、少し抵抗感を覚えました。
さらに残念に思われるのが、劇場版という事で、時間制限に縛られてしまっていて、主人公の心理描写が少し淡白だったことです。
文学少女の魅力と思われる、小説を食べたときの比喩表現や何気ない日常の風景に色彩を与える表現、それが初恋の美羽から続く主人公の惹かれる理由になっていた事は良かったですが、惹かれていく描写があまり描かれていなかったのが、文学少女の魅力を落としてしまい、誰がヒロインなのか分らなくなってしまっていた事が残念です。
また、主人公のトラウマの部分も嫌悪感からくる眩暈や発作の描写はありましたが、言葉や行動としてあまり描かれていなかったため、美羽と一緒に飛び降りようとした行動が、ただ、丸め込まれた印象でしかなくなってしまっていたという印象になってしまいました。
未視聴のOVAや原作では、おそらく気になった心理描写が描かれていると思われるのでそちらに期待したいと思います。
しかしながら、映像化で力を入れた部分である、宮沢賢治の銀河鉄道の夜を映像で表現するため、星空の風景は冬の澄んだ空気まで表現できていて、成功だったと思います。
さらに、文学少女の言葉選びもケーキにフルーツでデコレーションしていくかのように、色鮮やかでした。
私としては、夕日に照らされた部室をハチミツで例えたところが、印象的でした。
私では絶対見つけられない言葉選びだなと思っています。
そしてラスト、これは人によって評価が分かれると思いますが、一般的な付き合うといった愛の形ではなく、文学少女らしい愛の形として、もっと深い部分のつながりを求めたので良かったと思います。また誰かが恋に気付くことによって、誰かが失恋するというのも印象的でした。
全体的に観て劇場版として良作だと思います。
ドタバタじゃない青春ストーリーが観たい方にお勧めの作品です。