takumi@ さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
偽者と本物 真実と事実の境界線
1998年11月、時系列からいくと5番目のエピソード。
いよいよこの作品の核心に辿り着くということで、じっくり描かれた分
作品時間が113分と一番長く、見応えも充分。
今までさんざん、いたるところに張られてきた伏線を回収しつつ、
これまで起きた猟奇殺人事件すべての黒幕と対峙することになる式、幹也、そして燈子。
謎だった部分の真相が暴かれていくとともに、
原作者 奈須きのこ氏の描いてきた他の作品との関連なども垣間見え
それがファンには嬉しくなる部分だったりもする。
ある夜、楕円状の形をした高級マンションの1室で、
刃物を持って部屋に入ってきた母親を逆に刺して逃走した青年、
臙条 巴(えんじょう ともえ)が今回のゲスト的な主人公でもある。
事件を起こした巴と街で偶然知り合った式は、自分の部屋を隠れ家として提供。
1人暮らしの式を女性と認め、戸惑いを覚えつつ居候をする彼の態度や心情の変化が可笑しい。
共同生活を始めるうち、巴が起こした親殺し事件のことを聞いた式は、
現場となったマンションへ一緒に赴くのだが、そのマンションにはあるからくりがあった。
という話から展開していく。
自動車教習所に通っている黒桐、夜の街をひとりで歩く式、
いつもより登場人物たちが動いている日常、そして通行人の多い街の中の描写が
ちょっと珍しく感じ、演出もいろいろといつも以上に凝っていた。
しかし観ていくうちに、それも意味あってのことだったのだとわかった。
ネタバレレビューを読む
魔術師協会で同期だったという彼らと蒼崎燈子のバトルも見どころ。
魔術師とはいえ、やはり人間なのだなぁと思えた部分と、
そんなんありかっ!?と思えた部分とのギャップが面白かった。
思えばこの第5章、主な登場人物のそれぞれが
今までになかったほどその能力を出し切って活躍していた。
式や燈子は言うまでもないが、幹也の機転や勘の良さ、粘り強さや用意周到なところも
第2章と並んで生かされていたと思う。
また、自分の真実と両親の本当の想いを知り、自分の存在を証明するために、
そして式を守るために、全力で戦おうとする巴の激しい想いと言葉は、
まさしく「生への叫び」・・思わず胸が熱くなり、涙が溢れてしまった。
元、有名なスプリンターだった彼には、負けるという意識よりも
ただただ目標となるものに向かって突き進むことが、自分の価値だったのだろうね。
しかしそれにしても。
ネタバレレビューを読む
本当に、考察したいところだらけの第5章で、もっといろいろ書きたいのだが
まとまりつかなくなりそうなので、とりあえず今回はここまで(笑)
なにはともあれ、この章での式の女の子らしい一面が見れたのは楽しかったし
ハーゲンダッツのストロベリーがまたもや食べたくなる始末。
そして後半、幹也へ伝えた言葉と表情はもう反則なほど可愛かった。
幹也がかつて言っていた、バラ科の苺なイメージは揺るがないようだ。