CC さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
space debris
宇宙開発によって生まれた宇宙ゴミ(スペースデブリ)回収業者を主役とし、スペースデブリの問題を描いたSFアニメ。本作の時代は2070年だがスペースデブリは現代、すでに深刻な問題になっています。
スペースデブリとは、人工衛星やロケットの残骸のことをいいます。デブリは「ただそこにある」のではなく、超高速【秒速8㎞(時速29000㎞)】で地球のまわりを回っているので、ほんの数センチの大きさのものでも、その他の衛星と衝突すれば壊滅的な被害が出る非常に危険なゴミです。
人工衛星は2009年までで、地表から約800㎞の所に約6000機が打ち上げられており、このうち約900機が稼働中です。稼働していない人工衛星は大気圏で燃やしたり、地球から遠ざけて廃棄しています。しかし、この操作が成功するのは全廃棄衛星中約1/3程度で残りはデブリとなり漂っているのが現状です。
2009年、アメリカの『イリジウム-33』とロシアの『コスモス-2251』という人工衛星同士が衝突した事件がありました。二つの衛星はこなごなに砕け散り、約700個の大きなデブリと数万個の小さなデブリを発生させてしまいました。これは「最悪の事態」だそうです。デブリ同士が衝突して新たなデブリが生まれ、地球がデブリで囲まれれば、ロケットや人工衛星などが宇宙に出ていけなくなります。
このスペースデブリの対策として、本作では人が回収するといった形だが、現代では2012年にスペースデブリを回収する衛星をスイスで開発する計画が行われています。その衛星は、デブリを抱いて大気圏まで突入し、デブリごと燃え尽きる衛星のようです。現代デブリは50万個以上あるようで、スイスのエンジニアの皆さんには地球の未来のために頑張って頂きたい。
デブリ問題の一例として「人工衛星同士の衝突」を上げましたが、他にも「チャイニーズデブリ」という問題もあります。これは、中国が自ら打ち上げた衛星をミサイルで破壊しデブリを発生させていた、と事件です。興味ある方は調べてみてください。
解かりやすい様にザックリとした情報しか書いていませんが、デブリ問題を度外視せず深刻化している「宇宙の環境問題」と捉えて欲しいと思い紹介しました。その方が、本作の受け止め方も変わると思ったからです。ドラマとしても魅力的だが本作はテーマ性が高いので、その辺りにも目を向けて視聴して欲しい。より一層楽しめると思います。
【参考資料】
タカトシの時間ですよ!/Gigazine-news/Wikipedia/サイエンス資料館