てけ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
臨場感のあるホラーアニメ。深く考えず、部屋を暗くして眺めましょう。
原作未読です。
夜見山北中学校3年3組。
榊原恒一(さかきばらこういち)がそのクラスに転校してくるところから話は始まります。
そして、彼は、眼帯を付けた謎の少女に出会う。
呪われた教室の噂。
呪いとは何か、そして少女の正体は……?
ホラーアニメです。
一部過激な描写(血しぶき)等があるので、ご試聴の際は注意。
テーマをあげるとすれば「理不尽」です。
{netabare}
因果応報でもなんでもない、何もしていないのに巻き込まれ、死んでいく。
回避する方法もこれまた理不尽。
{/netabare}
惹かれるのは描写の丁寧さですね。
劣化したコンクリート、錆びた金属、ツタに覆われた建物、どんよりした曇り空。
また、携帯の電波障害、降り出す雨、不安をあおるBGM。
ホラーテイストを十分にかもしだしています。
座り方や手先の動きなど、細かいしぐさも丁寧です。
静かなシーンは徹底的に静かで不気味。
動くシーンは迫力のある動きを見せてくれます。
そして、次の回への引き方もうまいです。
OPも毎回少しずつ変化していますね(人物が変化しています)、こだわりが感じられました。
ただ、ストーリー構成がやや微妙。
説明不足が目立ち、伏線も回収しているような回収していないような、弱い印象があります。
{netabare}
例えば、人形。
最初のうちはひたすら人形が強調されていましたが、後半になるとほとんど出番がない。
また、「夜見のたそがれのうつろなき蒼き瞳の」という言葉は、主題歌を歌っているALI PROJECTの曲のタイトルです。
ALI PROJECTが好き、それだけの意味に見えるのですが……。
主人公の抱いていた夢や、鳴が描いていたイラストも、あまり意味をなしていません。
「レモンの叫び」もそうですが、隠喩としての意味があまりに抽象的だと、細かく解釈している暇が無く、ただの意味のない演出に見えてしまうんですよね。
もっとわかりやすい表現ができたのでは?と思います。
修学旅行が2年の秋から3年の春に変わった理由も不明。
また、通り魔殺人の新聞がありましたが、記憶を取り戻すきっかけとしては弱い。
どうにもわかりにくい隠喩や、投げっぱなしになっている謎が多いです。
「呪い」という理不尽なものと相まって、論理的な説明ができず、憶測しかできないのが欠点ですね。
{/netabare}
駆け足気味のストーリーなため、キャラクターの考えも推測するしかありません。
もう少し細かい心理描写が欲しかったです。
ただ、作画が綺麗ですし、臨場感があります。
また、日常とホラーの境目がない、つまり、いつ何が起こってもおかしくないという緊張感もポイントですね。
細かい設定や謎解きは置いといて、単純にホラーアニメとして見ると、楽しめると思います。
{netabare}
一応、人形のもつ意味について考えて見ました。
各話のタイトルを並べて和訳してみます。
Rough sketch:ラフ描き
Blueprint:青写真
Bone work:骨組み
Put flesh:肉付け
Build limbs:四肢の構築
Face to face:表情付け
Sphere joint:球体の接続
Hair stand:髪の毛の接続
Body paint:色塗り
Glass eye:ガラスの目
Make up:メイク
Stand by oneself:独り立ち
球体関節の人形を組み立て、それが動き出すまでのタイトル構成になっています。
ただ、これがストーリーそのものに関係があるかと言われると……。
やっぱり、球体関節人形や、ALI PROJECTが好き、それだけなんでしょうか?
{/netabare}