じぇりー さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
百人一首を鋭角から解釈
インターネットが普及し、メールで一瞬で簡単に他者とコミュニケーションが取れる今の時代。
美しいもの、愛らしいと思うものを見つければ、スマホ・デジカメで撮って、「はい、うp完了」。
そんな便利すぎる時代に生まれて、幸せと思うか、不幸せと思うか…
古来の人は、恋しい人への想い、季節の移ろい、美しい情景を定められた文字数でしたため、人々に伝え、残した。
しかも読んだそのままの内容に留まらず、その言葉の奥に密かな「想い」もそっと添えて。
学校で習う短歌だの百人一首だのは、せいぜいその短歌の言わんとしていることと、かけてある言葉の意味を教わるくらい。
その歌を詠んだ人物についてや、時代背景などはあまり知られていない。
本アニメは百人一首に収められている短歌の中でも、平安期に詠まれた歌と、その歌人のエピソードを、現代っ子にも分かりやすく、時にはギャグタッチで解説している。
六歌仙のうちの一人で、掛け言葉の使い手でもある文屋康秀は、「ダジャレ男」と呼ばれてしまう始末。
個人的には、清少納言のエピソードが非常によかったと思う。
清少納言といえば、とかく「紫式部のライバル」というイメージだけがついて回り、源氏物語に比べ、「枕草子?なんだっけそれ?」という有様。
しかし、このアニメに登場する清少納言は人間らしく、女らしく、聡明で勝気だけど、どこか脆いところも持っていて、非常に好感が持てる。
歌を詠むことを、暇を持て余す貴族たちの、優雅な遊びだったとは私は思わない。
宮中の数々のしがらみの中で、懸命に生きた人々の心を今に残す、多くを語らぬが、美しく巧みな言葉で時代を繋ぎ・後世に伝えていくために先人が残した、粋な知恵だと思う。