じぇりー さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
海外名著が原作。独特な映像が世界観を作り上げている。
もちろん多少アレンジはされているが、名著「モンテ・クリスト伯」(邦題:岩窟王)を原作としたアニメなので、ストーリーは文句なしに引き込まれて良い。
ただし、主人公はモンテ・クリスト伯ではなく、伯爵の行動に大きく影響し、影響されるアルベールという少年の視点で描かれている。
何しろ映像が独特。これがダメな人もいるかもしれないが、私は好きだった。
まるでそれこそヨーロッパの豪邸のカーテンの模様をスクリーントーンのように張り付けたキャラクター達の豪華衣装が毎回楽しみだった。
----2017年8月再度視聴。追記。----------------------------
本来脇役のアルベール視点で観たストーリーへと大きく設定変更されている点に賛否があるようだが、私はアニメとしてはこれで良いと思っている。
モンテ・クリスト伯爵中心にこの作品を描いてしまうと、憎悪が前面に押し出された陰鬱とした雰囲気になることが危惧されるからだ。
そう考えると、この陰惨な復讐劇に翻弄される15歳の少年が、苦しみ・傷つきながらも成長していく様に、「希望」という一筋の光が差し、救いの要素が加わる。これで作品として上手くバランスが取れているのだと思う。
子供世代であるアルベールとその親友であるフランツ、婚約者のユージェニーの3人の友情関係と、親世代の伯爵たち3人の若かりし頃の友人関係が、似ているようで全く違うものであるという対比の構図も良い。
彼らの友情や愛情とリンクしたOPの歌詞も、誰かに宛てた切ないラブレターのようで美しい。
親世代の大人たちの犯した過ち、友情や信頼関係の歪みや憎しみ…これら「負」の遺産を、子供世代のキャラクター達がどう受け止めて行くのか…という点がこの作品の大きな見所となる。
アルベール役の、当時まだ若手であったろう福山潤さんには、その声色だけでなく演技の面でも非常に瑞々しさを感じた。
青臭くて、愚直なほどに純粋で、人を疑うことを知らない少年、という役どころにピッタリとはまっていたと思う。
ただ、こうして幾年かを経て見返すと、当然だが最初に見た時ほどの感慨には浸れないものだ。
今にして思えば、この★の付け方は若干過大評価な気はするが、初見の時の自分の気持ちはそのまま取っておきたいので、変えないでおきたい。