こたろう さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
クッサい友情、だがそれが心地よい
男の友情、そして恋愛。
時は昭和。2012年現在だと50~60歳台の人が若者だった頃のお話。そんな時代の高校生が、悩んだり衝突したりで友情を育み、恋心募らせ、すったもんだする昔ながらのテイストの青春ドラマ。
ジャズバンドという流行ではないけど、わかる人にはわかるニッチな音楽をやってる主人公達。
土地柄というか時代というか、外国人が出入りしたりする場所でアメリカンな雰囲気を醸し出しているのがやたらお洒落にみえた、そんな高度成長期の世相を上手に舞台にしてます。
人間関係の描き方は結構ありがちなものです。
それぞれが恋しているわけですが、横恋慕が絡み合ってドラマを創っています。
これまた、お決まりではありますが、友情や親愛、尊敬や憧れ、そういう感情と恋心の中で揺れ動く若者達の人間関係を描いたストーリー。
惚れた腫れたのエピソードが多いのですが、やっぱり主題は男同士の友情です。
絵に描いたような親友の主人公達が、言葉ではなく音楽で語り合うのがクサくもありやたら素敵でもあり・・・な、ドラマとなっています。
1話1話でテンポよく話が展開するので、最初から最後まで間延びすることもないキレイな構成。
もうちょっと見てみたい、と思わせる腹八分目の感覚がずっと続く見せ方がすごく良かったです。
キャラ設定はベタベタで古臭さが漂っていますが、ベタゆえに感情移入の対象としては抜群。
すぐネガティブになってしまう主人公の思考には少々イライラさせられますが、それだけに解決に至ったときの爽快感も大きく、盛り上がりどころが結構あります。
キャデザは少女漫画というよりは、レディコミ的な濃さがあり、アニメの絵としては結構独創的な部類になるかもしれません。
最初は気になりましたが、この時代、このドラマの内容にはマッチしているのですぐに慣れます。
映像としては良質で、作画も安定しています。何より当時の時代背景や世相が画面の端々に現れているのが素敵です。
細かいギミックに拘ってるのが伺えます。
キモである演奏シーンの手の動きや表情、構図の切り替えが秀逸で、なんともいえずニクい。セッションを心底楽しんでいるのがバッチリと伝わってきます。
見た目や時代背景のおかげで今時のアニメになれた人は敬遠しがちかもしれませんが、大人の方にはオススメできる良作。
友情、音楽、恋、を存分に御堪能ください。