たつじん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
胸が締めつけられる作品
一見なさそうな設定ですが、どこかありそうにも思えてしまうストーリー・・・。
リアリティがあって等身大に見えてしまうキャラクター。
アニメーションでありながら・・・
自分の恋愛観を登場人物になぞらせて、いつしか見入ってしまいました。
ちょっとした出来事によって揺れ動かされる思春期の繊細な気持ち。
自分に素直になれず、誤解を生み出しすれ違ってしまう男女。
田舎町で起こるラブストーリーは、富山の美しい海・山と古い町並みをバックに美しく流れていきます。
{netabare}
問題のクライマックス・・・。
乃絵(のえ)も比呂美(ひろみ)も最後は自分の気持ちに正直です。
後は眞一郎(しんいちろう)がどちらを選ぶか・・・?
正直、観ていてつらかったですね。
優柔不断と言われるかもしれませんが、どちらも好きな彼の気持ちはよくわかります。
作られた物語として考えると、乃絵を選択する方が確かに美しいエンドでしょう。
でも実際には比呂美を選んだ・・・。
ここが、この物語のリアリティだと個人的には思うんです。
決して比呂美を選択したのを支持しているということではありません。
だからどちらの選択も「あり」だと思うんです。
だって予測不可能なのが現実の恋愛ですから。
{/netabare}
恋愛・・・それは当事者たちにとって幸福なこと、でもその裏で傷つく者にとっては残酷なこと。
でも恋愛によって感じた「心の痛み」が人を成長させるんですね。
本来、目を守るための生理的現象にすぎない「涙」が、感情が昂ぶって自然と流れてしまう・・・
そんな表現をしたくなるような、胸が締めつけられる作品でした。