「パプリカ(アニメ映画)」

総合得点
72.1
感想・評価
836
棚に入れた
3968
ランキング
1211
★★★★☆ 4.0 (836)
物語
3.8
作画
4.3
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
3.8

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ネタバレ

無毒蠍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

夢と現実の狭間で人は苦悩し快楽に溺れる…

今敏監督が手がけた長編映画ではこの「パプリカ」が最後の作品になってしまいました。
次回作「夢みる機械」始動というところでお亡くなりに…
この人の作品は賛否両論という言葉がまさに相応しいというか、
とてもスピーディーで幻想的な演出を駆使します。
どちらにせよ独創的な発想を持ち奇才だったことに違いはないでしょう。
ちなみに「夢みる機械」は監督を他の人が引き継いで製作中らしいです。

このパプリカは幻想的なSFファンタジーという印象で、
近未来的な要素もありながらまるで童謡のような懐かしさも感じます。

DCミニという夢を共有できる発明品をテロリストに悪用され、
他者の夢が悪夢で浸食されていく事件を現実と夢を行き来し調査していくような内容です。

今敏作品は現実と虚ろの境界線が難しく混乱しやすいですが
パプリカはパーフェクトブルー、千年女優なんかと比較しても全然観やすかった気がします。

夢という非現実な場所を利用してカウンセリングのような心理治療を行っていたのは
斬新で面白い発想ですよね、しかしその発想には盲点があって
あまりにも心地がいいのでずっと夢を見続けていたい…そんな人たちもいたりするのでしょう。
この物語はそんな夢と現実の狭間で生きる人々を描いています。
現実から目を背け夢にすがる者たち…
いつしか人は夢見るばかりで叶えることを忘れてしまったのかも。

しかし夢ってまるで映画みたいだよね。
夢の中でやれないことなんてないんだよ!
そんな楽しい夢は自分だけの夢だったはずなのにいつしか他人に夢を犯されている…
DCミニの発明は本当に素敵なことだったのかどうかは難しい問題です。

「あんなはずじゃなかった自分」
「こうなりたかった自分」
それらを夢を通じてうったえかけてきたのはパーフェクトブルーに似ているような印象をうけました。
そういった感情って人間の本質だしどこにでも存在してるんですよね。
忘れないでほしいのは夢は現実逃避の場所じゃないってこと。
夢は何かを成し遂げようと前に進んでいく人たちが見るものだと思うし、
何もしない人たちが見るのは夢でもなんでもないただの妄想ですよ。

自分で夢見ることさえできないから人の夢を侵食し嘲って自慰行為に耽る…
自身の感情をコントロールするのって存外難しいものだよね。

夢を食べ成長する子供…
いつの世も夢は子供に飲まれる運命なんだねw
良い夢も悪い夢も吸い込み成長するのが子供なんだよ。
夢といっても子供を育てる肥やしにすぎません、
この作品は大人になっても子供のときに味わった夢心地が忘れられない人たちへの
幻想曲だったのかもしれない。

【B+78点】

投稿 : 2013/01/09
閲覧 : 316
サンキュー:

4

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