cross さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
過去の2作品と比べても圧倒的な完成度だったが、強いて言うなら傷物語の後に放送して欲しかった【総合評価:99点】
2012年12月31日、22時から2時間にかけて放送、年の最後を締めくくるという面白いタイミングで放送された作品。
私もこの作品と共に年を越させて頂きましたし、物語シリーズの中でもかなり好きなこの猫物語(黒)で年を越せて感無量でございました。
化物語の前日談、つばさキャットで度々上げられていたGWの話、阿良々木暦と羽川翼の歪な関係、そして怪異『障り猫』の物語です。
冒頭で物語シリーズの最大の魅力であるパロディとメタを駆使した独特の演出と、巧みな会話劇でしっかりと視聴者の心をキャッチ
その後も個人的な意見ではありますが、物語シリーズの中でも上位に食い込むストーリーを丁寧に展開しつつシリアス一辺倒ではなく、所々で笑いの要素を挟みつつ抜群の安定感で進んでいきます。
この作品では化物語の時点では既に完結していた 阿良々木暦と羽川翼の関係について、その疑問を解消してくれます。
化物語や偽物語の作中では、阿良々木暦にとって恋愛対象から外れていながらも、特別な感情を寄せ、ある意味で神格化している羽川翼
過去の二作品でも作中、オーディオコメンタリーで何度か触れられてはいました、阿良々木暦は戦場ヶ原ひたぎと恋仲でありながらも傍から見れば羽川翼が好きなんじゃ?的な歪な関係性が完成した経緯
この作品を見ると、戦場ヶ原ひたぎが羽川翼に対して抱いているコンプレックスにも納得して頂ける筈でしょう。
善性を形にした様な、恐ろしいくらいに完璧で逆に人間性が薄い羽川翼と言う人間の根幹
化物語で羽川翼から抜け落ちた記憶、怪異『触り猫』が彼女に憑依し鎮められるまでの流れ
羽川翼を主役に据えた『つばさキャット』でも深く語られる事のなかった事象が丁寧に描かれています。
個人にかなりの高評価をしている化物語と偽物語と比べても、内容、演出共にもっとも完成度が高い素晴らしい作品だったように思えます。
ですが……
作品自体には不満はありませんが……
やはり傷物語の後に放送して欲しかったと言うのが正直なところです。
阿良々木暦と羽川翼の関係を描くこの作品において、二人の出会いと絆を結ぶ過程を描いた傷物語なくして、この二人の関係をピックアップするのはどうかと思います。
原作で既に傷物語の内容を把握している自分としてはこの作品は素晴らしい出来ですが、完璧にこの作品を楽しむには傷物語は必須
勿論、この猫物語(黒)のみでも楽しめるのは間違いないのですが、未視聴だという方には本当の意味ではオススメ出来ません。
傷物語公開まで待つ、もしくは原作で傷物語を読んだ後でこの作品を視聴するのをオススメします。
傷物語の内容を知らず、既にこの猫物語(黒)を見てしまった方は、傷物語を見た後にもう一度見て欲しいです。
さて、化物語、偽物語のレビューでも推していますが、物語シリーズのもうひとつの魅力、キャラクターが視聴者目線で本編を見ながらツッコミや裏話などを語ってくれるオーディオコメンタリー
過去の二作品でも本編と同様に非常に楽しめたオーディオコメンタリーはこの猫物語(黒)にも収録される予定
まだどのキャラクターがオーディオコメンタリーを当てるのかは発表されていませんが、今から楽しみでなりません。
DVD・BRの発売はまだ先ではありますが、発売された後、お時間があれば是非ともオーディオコメンタリーも視聴してみてください。