ゆ〜ふぉるど さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
The 1000th summer—
これはある海辺の町が舞台の、
人形遣い・国崎往人と、不思議な少女・神尾観鈴の夏の物語。
そして、観鈴の叔母である晴子と観鈴の短い親子の物語。
主に1~8話(第一部)、8~9話(第二部)、10~12話(第三部)の3部構成でできています。
{netabare}
最初、第一部だけでは話のほとんどを理解できませんでした。
佳乃へ何らかの影響を与えてしまった神社の羽根、
観鈴の親しくなると起こる癇癪・空を飛ぶ夢・謎の病気。
これらと往人に覚えのある「空飛ぶ翼をもった少女」とどういう関係があるのか、
ここではまださっぱりでした。
しかし第二部でそれらの謎は明らかになりました。
空飛ぶ翼をもった少女の神奈と、柳也、裏葉。
この3人と、翼を持った少女の言い伝え、法術、意思の教え、空飛ぶ夢、そして往人・観鈴とが、
1000年もの時空を超えてぴったりと合致したとき、
こういうことだったのかと納得させられ、とても感動しました。
そして第三部、ソラの視点で晴子と観鈴のその後のはなし。
晴子は敬介と観鈴の引き取りについてもめながらも、
観鈴の血のつながっていない、けれど本当の母親になり、親子の絆が深まっていきました。
しかしその後、これも逃れられない宿命なのか...
せっかく親子の生活が始まろうとしていたときに、
こんな結末になってしまうとは...
往人の願い通り、観鈴には晴子と親子の絆を深めて、幸せに暮らしてほしかったです...
観鈴がゴールして目を閉じる場面、思わず泣いてしまいました ;_;
ここで少し話が変わりますが...
はたしてこれはバッドエンドと言い切れるのでしょうか?
確かに晴子にとってはとても切ない結末です。
これからというときに、親子としてやるべきことができなかった。
後悔の気持ちでいっぱいでしょう。
しかし観鈴からしてみれば、発作を引き起こしながらも往人や晴子と離れず一緒にいようとし、
たくさんの思い出をつくり、親子愛を育むことができた。
自分の力でその最期まで精一杯生きていくことができた。
だれもたどり着けなかったゴールへ到達したのです。
その点において、観鈴にとっては十分幸せだったのではないかと思います。
夕方の浜辺にいた男の子と女の子は、往人と観鈴の生まれ変わりなのでしょうか?
男の子が言っていたこと、なにか知っていそうでしたが...
うぅん...謎です...
このような謎(他には、この輪廻から解放できないのか...など)もまだ残っています。
けれども、{/netabare}
このよく組み立てられたシナリオに加えて、
背景の美しい描写もすばらしい。
どこまでも続く海空がまぶしいほどきれいです。
楽曲も「鳥の詩」「Farewell song」など神曲ぞろい。
鳥の詩は、メロディが海空の情景を思い浮かばせ、
歌詞は往人と観鈴、そして1000年もの思いを綴っていて好きです。
2クールならもっと内容を広げられたかもしれませんが、
1クールにこれだけのクオリティをつめこんだのはすごい!
Key × 京アニのコンビがつくりだした名作ですね。
この作品に出会うことができて良かったです。
A I R 、感動をありがとう...