無毒蠍 さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 2.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
女優は女…恋に恋焦がれさまよう…女は女優…
パーフェクトブルーの今敏監督による第二作目。
伝説の女優、藤原千代子の半生をドキュメンタリー形式の回想で描いていく作品です。
彼女の取材を担当する源也&恭二、そして年をとり隠居していた千代子、
この三人を軸に物語りは進行していくのですが、
普通の回想とは違い現実世界で取材している源也&恭二も回想に介入していて、
まるで実際そこに存在しているかのような演出がなされています。
物語のほぼ全編が回想シーンといってもいいような構成で、
一定の節目までは現実世界のシーンには戻ってきません。
現実世界の人間が回想の登場人物として介入してるだけでも変わってるのに、
回想のほぼすべてが映画仕立てになっているのです、
正直、映画部分とそうでない部分の区別が私にはよくわかりませんでしたw
パーフェクトブルーを視聴された方はご存知だと思いますが
作中の撮影シーンでドラマ部分と現実がリンクしているかのような演出があったじゃないですか?
千年女優は8~9割そういったシーンで構成されるといっても過言じゃありません。
パーフェクトブルーの段階でちょっと混乱したと言っていた私ですからね…
この千年女優はちょっと難解すぎました。
映画仕立てで展開がめまぐるしく変化していくものだから非常に情報量が多く忙しい。
やっと今の流れに慣れてきたかと思ったら次の作品に突入してしまいますw
回想というよりはパラレルワールド。
物語そのものは難解に感じたのに序盤の段階でオチだけは予想できてしまった。
なので作品の印象としては伝えたいことはすごく簡単なことなのに
やけに遠まわしに伝えてくるんだなぁ、というものでした。
この作品はオチが予想できてしまうと面白さ半減かなぁ…
そもそも物語の根底にあるのが千代子の恋心なのです。
半生にわたり顔もおぼろげな一人の男との再会を夢見て千代子はさまよい続けます。
一人の男に会うための物語としては少々くどく感じてしまいオシャレすぎる印象。
序盤で千代子は女優になったのは男ともう一度会うためで実はどうでもよかったと語っていますが、
最後まで観ればそれが真実ではないことがわかります。
本当はその逆なんですよね、彼女は生まれながらの女優でどうでもよかったのは男のほうなのです。
顔もよく憶えていない男のために一心不乱に走り続ける自分に酔っていただけの彼女…
彼女にとっての恋心とは女優としての自分にささげる肥やしにすぎなかったのかもしれません。
障害が多いほど燃える恋とは言いますが彼女もそうだったのかな?
距離が縮まったと思ったらまた離れてしまう…そんな絶妙な距離感に
一人の女として、そして一人の女優として燃えてしまったのかもしれないね。
源也&恭二が回想世界に見事に介入してるのに対し、
僕のほうはそこまで介入しきれなかったのが悔やまれます。
まだまだ勉強不足ということでしょうか?
文芸作品のような小奇麗さなので手のつけどころが難しかったです。
【B72点】