takumi@ さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
傷と化のあいだの壮絶な9日間のお話
まず、羽川翼(堀江由衣)が歌うOP
「perfect slumbers」が、とても良かった。
このシリーズ全体に言えることだけれど、独特のムードと
洗練された映像と演出を久しぶりに観ることができて嬉しかった。
好きかどうか、どうやって決めるのか。
どの時点から「好意」になるのか。
主人公・阿良々木 暦(あららぎ こよみ)の2人の妹の
それぞれの答えがなかなか興味深かった。
どちらも正解だし、でも何をもってそれを正しいとするのか
そんなことも考えて観ていると、どんどん置いていかれそうだった(笑)
ようするに、恋とは欲情や欲望でもあり、それはきれいな言い方をすれば
憧れや尊敬も含んだりするのだろう。
「何でもするから」という言葉にスイッチが入って
それまでのことがどうでも良くなるくらいに。
でも、阿良々木くんの気持ちはどんどん変化をしていく。
羽川さんの家庭事情、怪異、そこに見る本音を知っていくうちに
同情や哀れみじゃなく、対等だという意識の元、
命をかけてみちゃったりもする。
今までの作品の中での彼を見てきて思うのだが
その想いは、救おうとするのと似て異なり、いつもどこか
彼自身のためのようにも思えてならない。
なので、一見気まぐれにも見えてしまうわけなのだけれど
彼にとっては道理が通っているようだ。
そして後半はもう、恋と呼べるものとは別次元の
「愛」に近い感情になっているように見える。
でも、その「愛」にもいろいろ種類はあるわけで。
恋愛の愛じゃなく、庇護本能とも少し違う、純粋に大切にしたい想いに
近いのではないだろうか・・・
下着姿の女子高生に欲情し、欲求不満を解消したい、というような
そういう想いはとっくに超えて、たまらなく好きなのは認めつつも
{netabare}
深入りして幻滅するとか、同じように恋してもらうのを期待するような気持ちを
恋と呼ぶなんてバカらしすぎるとも思ってしまったから
「恋しちゃってなんかいねーよ」=羽川への自分の恋心を否定する、
ゆえに失恋になるんじゃないかなぁ、と考えてみた。
一方、羽川翼のほうは、恋などという感情以前の問題があり、
重く複雑な家庭事情によって、仮面を被らざるを得ない状況で。
{/netabare}
人間誰にも多少はある裏と表が、乖離的な精神状態を生むほどに深刻な彼女の、
これまた仮面を被った行為によって怪異を起こしてしまうという皮肉。
個人的にはその関連性がとても興味深くもあった。
でもそのあたりのさらなる詳しい補足説明は、猫物語(白)などで
描かれるらしい。
ちなみに「猫物語(白)」のアニメ化は今年中の予定だそうで
そちらも楽しみ。
とにかく、妹との掛け合いが一番面白かった。
そして忍野メメに久々会えたことも嬉しかった。
やっぱり彼の言う言葉に一番共感できる。
化物語の直前の数日間を描いた話なので、
化物語の冒頭シーンに繋がるラストにも思わず頬が緩んだ。
でも欲を言えば、先に「傷物語」を観ておきたかった。