ぽんぬ さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
すべてにおいて秀逸!
テーマ、物語、絵、音楽、カットに至るまですべてがドラマチックで芸術的!
作中には様々な人や神、動物が登場する。
主人公アシタカは自らを顧みずに人を守り、理不尽に村を追放される。サンは、山犬にもなれず人間にもなれない自分を醜いと信じながら、人間と戦う。エボシは差別され苦しんできた人々を守る反面、神や動物は非情に殺す。野心に生きるジコ坊。差別され虐げられてきたが、幸せをつかもうとする人々。雪辱を晴らすために最後まで戦い続けた乙事主。ただそこにいて、命を与え奪うシシ神……。
誰の生き方も共感し、決して否定できない部分がある。ただ平和に、ただ幸せに生きようとしている。それなのにそのことが恨みを呼び、憎しみの連鎖が生まれ、やがて血で血を洗う争いへと発展していく。
どうして争いが起きるのか、どうして誰も止めないのか。物語は進みながら、シシ神のように命を奪っていく。
大自然の恩恵を受けながら、自然との共存を望まなかった人間は、結局豊かな森を禿山にしてしまう。美しい音楽が流れ争いは終わった。だが決してハッピーエンドとは言えない。製鉄所の火は消え、豊かな資源はなくなった。きっとタタラ場の人たちもサンも皆、誰ひとりとして今まで通りに生きることはきっとできない。でも、生きている。そのことが見終わったあとに妙なスッキリ感と、切なさが残ります。