takumi@ さんの感想・評価

3.8
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

ツンデレな妹&優しい兄貴を描いた代表作の１つかも

この兄妹、思春期になるまではどうだったのかな、と思った。
第一話からずっと妹の口調や態度があまりにもキツく、
兄である主人公がそういう態度とられても仕方ない人ならまだしも
警察官である父親譲りの男気があって、多少の気の利かなさはあるものの、
父親にはない柔軟さがあり、家族の中で誰よりも妹の味方であろうとする
そんないい兄だったから、いつからそうなったんだ？と。

でも、この物語にそんなことは重要でなく。
冷え切っていた兄と妹の関係が、徐々に変化していくプロセスと
登場人物たちの濃いキャラを楽しめたら良いのだろう。

妹が「妹を愛でるエロゲーオタク」っていうのがまず笑えるのだけれど
彼女は妹に自己投影してるのではなく、あくまでも自分は兄的立場。
しかしそれは、自分の実の兄の理想化とは違う別物であり
なかなかその精神構造は興味深い。
しかも、実の兄とそういうゲームを一緒にしてしまうという行為にも
最初は理解に苦しんだ（笑）

兄を兄としてまるで意識しておらず、他人扱いということなのか、
内心では兄の優しさに甘え、信頼もしていて素直になれないだけなのか。
おそらく作者的には後者なのだろうが、それにしてはデレが少な過ぎた。
妹のわがままに振り回される兄が不憫になる一方で、
案外自分も妹に何か頼まれたら、今なら応えてしまうのだろうかと
何度も自問自答してみたが、「不可能ではないな」程度の答えしか出せなかった。

むしろ、キャラ的には黒猫あたりが妹なら納得もいく。
この作品は結局、妹のキャラを好きになれるかどうかで
だいぶ感想も変わってくるのだろうね。
ちなみに僕は、好きにはなれなかった。
でも、それ以外の人物たちの魅力があったり、
展開が面白かったので最後まで観ることができた。

それにしても・・
幼馴染の田村さんの、ふんわりと包むような母性愛に満ちた魅力は
日々、妹の毒舌に慣れてしまってる主人公にとって物足りないのだろうか。
なんだかとてももったいない気がする。
「幸せはすぐそばにあるよ」っていうパターンだよねこりゃ（笑）

そして沙織・バジーナさんのお顔、ぜひとも拝見したかった～
ああいう人、実際にいそうなところがオタクの奥深さでもあるよね。
ゴスロリ好きの自分としては黒猫が一番お気に入りだったわけだが
ヘアスタイルとファッションがあまりに一辺倒なので、
いくら脇役とはいえ、もう少しバリエーションが欲しかった。

最後に、この作品全体通して見渡してみると・・
兄と妹の関係をベースにしながらも、根底に流れるテーマは
ゲーム、オタクというものへの偏見の実際と理解だったのかなと感じる。

無関心だったものへ少しずつ譲歩するには、それに則した想いが当然必要で。
その想いこそが兄妹愛（家族愛）や友情であり、理解や共感なのだろうね。
ネットを通した、顔の見えない交流も似ているし
同じ趣味趣向で集まり、繋がる関係・・例えば秋葉や幕張で
開催されるイベントや、ゲーム研究会のような部活の中でもそれは変わらない。
そういうことも言いたかったのかなと、ちょっと思った。

この春、２期の放送が決定しているそうで、話が１期の後日から続くのか
まったく別な話が展開されていくのかまだわからないが、観てみようと思う。