maruo さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
殺したくないというのは善性か? B+
原作未読
無人島にて繰り広げられる爆弾を用いた殺し合いを描いた作品です。
なぜそんな島があるのか、なぜそこに俺(又はお前)はいるのか、そしてなぜ殺しあわなければいけないのか。問いたいことは沢山あるのでしょうが、そんな暇も与えないうちに、次々と危難が襲い掛かってきます。
主人公が出会う人たちは、自分が生き残るために人を殺すことを厭わなくなった人間もいれば、躊躇いを感じている人間もいます。微妙な心理戦も持ち込まれており、単純な殺し合いではない分だけ、興味を引くような内容にはなっています。
そんな中で主人公は分かり易いまでの善良な人間として描かれていました。具体例を挙げるのも何ですので控えておきますが、よくぞここまで他人の善性に信頼を置けるものだと思うような人物です。
引き篭もりの主人公が、殺し合いの場に放り込まれたというだけで、なぜそんな人格になることができたのでしょうか。元来、そうした善良な性質を持った人間なのだ、と考えるのが至便だとは思うのです。
しかし、つい私は別の見方をしてしまいました。即ち、引き篭もって他人と触れ合うことがない人間には、本気で他人を疑うことなど考えも及ばないのではないだろうか、と。
そう考えると、これは相当の皮肉を込めた作品のように思えてしまいます。{netabare}そんな主人公が最後まで生き残ってしまうのだからなお更です。{/netabare}
もし、実際に引き篭もっている人々が、この作品の主人公に感情移入しているとすれば、その光景こそ私にとっては面白いものに映るでしょう。
まあ、そうした邪推と皮肉(というか底意地の悪さ)はさておいて、余り考えずに見ることができ、なおかつ楽しめる作品ではありました。多分、次期を作って核心に迫っていくのでしょうね。