Tuna560 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
『ふしぎの海のナディア』作品紹介と総評
『新世紀エヴァンゲリオン』『トップを狙え!』の庵野秀明が総監督を務め、ジュール・ヴェルヌによるSF小説『海底二万里』及び『神秘の島』を原案として作られたアニメ作品。
エヴァQを観た事がきっかけで、約20年ぶりに観直す事にしました。放映当時はまだ子どもで、ストーリー自体あまり覚えてませんでしたが、面白くて毎週観ていた事は今でも覚えています。
(あらすじ)
西暦1889年、パリ万国博覧会中のエッフェル塔で、飛行機の発明を夢見るジャンは、サーカスの団員であるナディアと、ナディアの友達である赤子ライオンのキングに出会う。
彼女の持つ謎の宝石ブルーウォーターを狙うグランディス一味から逃げ、ナディアの故郷を目指す旅のなかで、悪の組織ネオアトラン(ネオ・アトランティス帝国)の首領ガーゴイルが占拠した島で生き残った少女、マリーと出会う。しかし、マリー、キング、ナディアの3人は、ガーゴイルに連れ去られる。初めはブルーウォーターを狙っていたグランディス一味と共にナディア達を助けるうち、ジャンは万能潜水艦ノーチラス号のネモ船長とガーゴイルとの戦いに巻き込まれていく。
また、作品の中では旧約聖書の創世記などの神話、アトランティスなどの伝説、古代宇宙飛行士説や過去のアニメ作品など、色々な要素やネタが盛り込まれている。(wikipedia参照)
この作品には色んな製作上の経緯、後の作品に与えた影響があります。例えば、宮崎駿の『天空の城ラピュタ』の元企画で没ネタであったり(ex:謎の青い石や超古代文明の設定、第1話のナディアが追われるシーンなど)、後に庵野監督の『新世紀エヴァンゲリオン』の元ネタになっていたり(ex:アダムやそれらの骨格、部品の存在など)。ある意味、80年代アニメと90年代アニメの架け橋となった作品だと思います。
観直してみて、一番気になった点は「科学技術の捉え方の違い」という点ですね。
例えば、発明好きのジャンは未知の科学の集合体である”ノーチラス号”を人類の宝と賞賛したが、ナディアは”人殺しの道具”と忌み嫌うシーンがあります。これは”近代的な考え方と古代的な考え方”の相違の典型だと言えます。
そしてもう一つは”ナディアの考え方”です。ナディアは、”動物を殺す事”に極端に反応し、そのため肉や魚を食べる事すら嫌う。「宗教上の理由で特定の肉料理が食べれない」という事は今でもありますが、これはどちらかと言えば”死生観”に起因するものでしょう。
1800年代は近代文明のスタート地点で、近代的な考え方をする人とそうでない人が二極化していた時代だと思います。こういう、「価値観や考え方のズレ」をうまく作品に盛り込まれているなと思いました。
ストーリーに関しては、中盤に中だるみはあるものの、今観直しても遜色無い物を感じました。
やはり、屈指の名作はいくら時間が経っても、色褪せない物ですね。