たつじん さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
使者は・・・誰?
ミステリーホラー作家 綾辻行人さんの原作だけあってしっかりとしたストーリーです。
個人的にこの作家さんの館シリーズ・囁きシリーズが好きで読んでいたので、とても興味深く観させていただきました。
肺疾患と父の海外赴任のため、一時的に祖父母の住む田舎町に住むことになった主人公 榊原恒一(さかきばらこういち)。
彼が転入した3年3組には「クラスの決めごとは絶対守ること」という都市伝説のような「言いつたえ」があった。
彼が病院で出会った同級生・・・謎の眼帯美少女 見崎鳴(みさきめい)。
彼女は生きている人間なのか・・・ それとも?
26年前に亡くなった「みさき」は誰・・・?
同級生・教師までが隠そうとする秘密とは・・・?
深まる謎・謎・謎・・・。
ホラーでありながらミステリーの要素も加わって、観ている者を一気に引き込んでいきます。
{netabare}
ラストに「死者」を暗示していた場面がフラッシュバックされましたが、他にもちりばめられていました。
まず1話、怜子と祖母、対策係の赤沢ら三人が恒一の病室に見舞いに訪れるシーン。
デジタル時計が意味ありげにアップになります。
観ているとあたかも同一日に見えますが、前者が4月25日午後5:44、後者が26日午前11;52と決定的に違うのです。
すなわち怜子と生徒は出会ってないのです。
そして8話です。夜見山を離れ海辺のホテルへ行く回ですが、怜子と生徒は初対面の筈なのに、自然に接しているのが逆に不自然です。
・・・後で考えると、先生と生徒の間柄だから当然のことだったんですね。
ところで後で調べて知ったのですが、「三神先生」と「怜子」のCVは同一声優さんで「榊原奈緒子」さんです。
でもエンドテロップでは「三神」は「宮牧美沙代(みやまきみさよ)」という架空名で流れてきます。
でも並び替えると「よみやまみさき」・・・この名前は、まさに26年前に死んだ生徒の名前なのです。
何ともこだわった演出ですね。{/netabare}
細部まで描かれた画のクオリティは高く、また作中に出てくる西洋人形のリアリティや赤さびた校舎などの建物がこの作品の不気味な雰囲気をかもし出しています。
効果音やとぎれとぎれになる携帯電話・・・
こだわった演出も作品の世界を作り上げている要素といっていいでしょう。
ただ、アニメでありながら思わず顔を手でおおいたくなるようなシーンが、ショッキングで「グロい」感じに見えてしまうのが、この作品の評価を下げているのかもしれませんね。
いい作品だけに・・・とても残念です。
最後に個人的にですが、話中に出て来る「死者」がどうしても「使者」に聞こえてしまいます。
死んだことを自覚していない者が人を死へといざなう「使者」に・・・