「妄想代理人(TVアニメ動画)」

総合得点
70.6
感想・評価
802
棚に入れた
4196
ランキング
1526
★★★★☆ 3.6 (802)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.6
音楽
3.7
キャラ
3.6

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ネタバレ

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

妄想を代理したのは社会という人物らしい。

今敏監督の作品にしては理解しやすく、またテーマがはっきりしていて見続けやすい作りになっていると思う。

ループ性を帯びた社会現象を表現している訳だが(ループ性とは最終話を見れば理解できる)、これが実にリアルだ。

しかもテーマが現代人の「癒し」「現実逃避」といった日常的に行われる人間の行動原理を基としている為入り込みやすい。
という訳で、この作品は今敏の世界を十分に楽しめながら物語としても楽しめる「デキの良い」アニメとなっている。


この作品に置ける今敏作品の要である虚構はタイトル通り「妄想」だ。
しかし、パーフェクトブルーと違い個人の妄想の話ではなく、代理人の妄想の話であり、その代理人とは大衆のことを指す。
この相違点が普段の今敏の作品との大きな違いだと思う。

{netabare}
鷺月子の虚言と妄想から模倣犯罪が連鎖的に行われる訳だが、これらは社会現象を示している。マロミと少年バットが同じというのは一時の開放を現代人は求めているということの証明だ。苦しい時、悩みがある時に、いっそ事件でも起きて自分を開放してくれたら良いのに、と他力本願な願いが増幅する時に少年バットという社会現象を利用することで自分の現実逃避を正当化する。
それを小規模的に行っているのがマロミなのだろう。

最後の泥は後回しにしてきた付け、ストレスの増幅から生じるものを表現していると思われる。
要するに、堪忍袋の緒が切れるというやつなんだろう。

最終話には新しい癒しキャラクターが人気になっていて、馬庭光弘が謎の老人と同じ役割を担っていることから、ループ性を帯びていることも分かる。
これは社会現象を描いていることに他ならない。そういった特定の状況だけでなく、大衆に関連する内容を今敏特有の主観的作風で表現していることから、この物語は理解し易く、見続け易いのだと思う。{/netabare}

個人的には本編と直接的な関係がない第8話が非常に気にいった。愉快な自殺志願者というシュールな表現も好きだったが、何よりも少年バットが逃げたことが面白かった。
死ぬことを望んでいても、追いつめられていない場合は彼らを一時的な開放へとは追い込まないということだろう。

金銭や信頼関係など、社会を生きる重要な要素は星の数程存在するが、何よりも気の持ち様というのが一番大事なのかも知れないと思わされた。

投稿 : 2012/12/19
閲覧 : 358
サンキュー:

10

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