「ef - a tale of memories.エフ・アテールオブメモリーズ(TVアニメ動画)」

総合得点
87.5
感想・評価
2435
棚に入れた
12466
ランキング
152
★★★★☆ 4.0 (2435)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
4.1
キャラ
3.9

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takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

繊細な心理描写とリアルな感情の変化

人には誰しも、他人になかなか見せない部分がある。
人には誰しも少なからず、背負うものや苦しい記憶があったりする。
そしてたぶん、自分の存在が認めてもらえなかったり、居場所がなくなるのは
耐えられないだろうし、それは死んだも同然かもしれない。

忘れたくない記憶もある一方で、忘れたい記憶もある。
それがごく一般の人間の想い。
けれど、記憶そのものがある一定時間しか留められないとしたら・・

キセキは存在せず、必然と偶然あるのみなのか。
想いがなければ本当に何も起きないのか。
だとしたら、その想いとは・・彼らのそれぞれの夢、生き方、目標は?
そういう視点で第三者的に見守っていくとわかりやすいかも。

記憶が13時間しか持たないという記憶障害の千尋(ちひろ)
人やその心に深入りしないようにしているかに見える蓮治(れんじ)
この2人の出逢いとその行く末。

現役高校生でありながら少女漫画家でもある広野 紘(ひろの ひろ)
人懐っこく気まぐれなその裏に愛情に飢えた淋しがりな面を持つ、みやこ。
広野の幼馴染で、彼を兄のように慕うボーイッシュなバスケ少女・景(けい)
この3人の複雑な恋愛模様。

以上の2つの関係を軸に、高校の同級生や先輩後輩、周囲の大人たちを配置。
入り組んだ奥深いシナリオを、シャフト独特の演出満載で描いた全12話。

まず、1クールでよくこれだけの話を盛り込んでまとめたなと。
大人たちのセリフはなかなか深く、真似したくなるし共感できるものがあり、
女の子たちのセリフやシーンには、いろんな意味で鳥肌が立ってしまった。
やや過剰な演出のせいもあったのかもしれないが、でも作品として観た場合
それは目的をしっかり果たしているし、成功していると思う。
そして同時に、彼女達の想いやセリフは演出抜きでもリアルだったと感じる。

特にデートをすっぽかされたみやこが、広野の携帯の留守電に入れたメッセージの
感情の移り変わりには背筋が凍る想いがしたし、
後半での広野との本音のぶつけ合いなど、テレカの残数の演出も
加速していく激情にうまくリンクしていた。
そしてその演技、演出とも唸ってしまうほどお見事だった。

個人的には、千尋たちや広野たちの関係より、いつも教会付近にいる火村と、
高校生達に様々なことを問いかけ、少しずつ関与している優子の関係のほうが
すごく興味をそそられたし、もっと深く知りたかったが
あいにく原作のゲームも未プレイなので、詳しいことは謎のままだ。
おそらく2期に詳しく描かれるのだろうと期待している。

観始めて2~3話までは、登場人物たちが何をしようとしてるのか
つかみにくいまま進むので半分眠くなりかけたりもしたのだが、
明らかに伏線だらけだし6話からは特に惹き込まれていった。
それに、OP,EDだけでなく作中のBGMもとても良いし
作画に関しては、風がいつも吹いている街や海辺の夕景がすごく美しかった。

広大な空間にポツンと人物を描くとか、静止画をフラッシュで挿入する手法、
いきなり影絵のようなモノトーンに色を落とす描き方は
これまでのシャフト作品でたくさん観てきたが、
そのシーンでの人物の心理状態が表現されるという部分では
この作品が抜きん出ている気がする。
こういうあえての演出が苦手な人もたぶんいるかもしれないけれど
スタッフロールを見ずにすぐどこの制作かわかるって、すごいことだよね。

一時はどうなるかとやきもきしたが、登場人物のそれぞれが
うまい具合に収束していき、後味はとても良い作品だった。
このまま、2期も引き続き観てみようと思う。

投稿 : 2012/12/20
閲覧 : 455
サンキュー:

36

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