hiroshi5 さんの感想・評価
4.2
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
見たタイミングが非常に良かった。
ふんわり、まったりした雰囲気の設定とキャラの中、自分の限界をバイクで比喩しながらコンプレックスを解決していく物語。
世界を旅してきたシンシアが重要な役目を果たす訳だが、「さゆなら絶望先生」の木村カエレとキャラが被り過ぎていてちょっと対応に困った^^;
彼女は一人で旅をしてきたのではなくて、道路を作った人、バイクを作った人、それら全ての人たちの存在を旅をすることで実感するらしい。
つまるところ、一人で旅をしていても、一人ではない。だからもっと人に頼ることに寛容になろうよ!的なオチなわけだ。
この考え方が出来る人は心の底から素晴らしいと思う。旅をしていても寂しさや辛さが感謝の気持ちに変わることもあるのだろう。
しかし、残念ながら私はそういう気持ちには中々なれない。
永遠と続く道も、そこを走る車も、旅に必要な鍋やガスコンロも全て作った人が儲ける為に作っていると思ってしまう。
善意ではなく、己の利益の為に他者のニーズに答えているといつも思ってしまう。
既にこんなに旅をしているのだから、そろそろ私もシンシアみたいな考え方をしても良い筈なんだが、なかなか変わらないものだ。
なんにしても、この作品を見たタイミングは非常に良かった。12月14日にこの作品を見た訳だが、その日までメキシコ旅行をしていた。
外の世界に視線を向けるとはどれほど新鮮で重要かが再認識できている時にこの作品を見れたことはかなり大きい。
発展途上国のダウンタウンは凄まじかった(メキシコは新興国なのかも知れないが、ここではあえて発展途上国と使わして貰う)。衛生面は崩壊しているし、格差もほぼカースト制と言わんばかりの不動のものとなっている。
道ばたには足が腐った浮浪者がゴロゴロ寝ているが、そこを悠然と歩くのはブランドもので身を固めたセレブたち。
バスには常にライフルを装備した警官が同行し、道路を走れば水やスナックを手に持った売り子が走りよってくる。
メトロに乗れば背中にスピーカーを背負った男がCDを売るわ、勝手に演劇をして金をせびるわでカオス状態。
もう逞しいってなんの。周りの視線なんか気にした者負け、警察がいるからって怖じけた者負け、そんな世界だった。
皆生きるのに必死だった。
必死に買ってくれとせがんでくる売り子を追い払っていると、仕舞には「I need money!!」と逆ギレしてくることさえあった。
正直、三日滞在しただけだが平穏に暮らして来た私には精神的にも体力的にも一杯一杯だった。
これは次元が違う・・・というのが一番の感想。
しかし、この作品でも出ていたが、外の世界に視線を向けるのは本当に良いことだと思う。
どんなに本やサイトを見ても、この感覚は実際に現場を見た者にしか味わえないと思う。
そういう意味でも、旅はしてみるものだ。