にゃんた さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
恐ろしくて素晴らしい
2004年の米映画『バタフライ・エフェクト』をご存知だろうか。
アメリカでは初登場1位を記録し、ヒットした。
日本ではあまり話題にならなかったが、その内容の秀逸さゆえに一部ファンの間では有名な映画である。
その映画のネタバレにならない程度に簡単に内容を・・・
「現在の状況に不満を持つ主人公が、それを変えるために過去にタイムリープし、過去の行動をやり直す。
しかし、過去の些細な行動の変化が、現在で予想外の運命の変化をもたらしていた。
納得できない主人公は、再び過去へ戻り・・・。」
という、タイムリープをループするお話。
まどか☆マギカ10話を視聴した直後に、私はこの映画を思い浮かべ、
その枠内での決着をつけるプロットなんだと思っていた。
なので、
「目的達成のために努力することが、目的達成をより困難にしてしまう」
という、ほむらが陥った螺旋構造の問題の解決策として、
「目的自体の消滅」
つまり、
「まどかが魔女になることを受け入れる」
「まどかの生命を、まどか自身が放棄する」
「そもそも、まどかに出会わない」
という方向の結末を想像していた。
(どれも解決には程遠い選択肢ではあるが)
・・・しかし、予想を裏切られた。
映画好きの虚淵氏は、よく有名映画作品のプロットを使う。
そして、そこからオリジナルな展開を示して
こちらの予想を裏切る。
今回もやっぱり裏切られた。
結論は、たしかに「目的自体の消滅」ではあった。
しかし、目的を消すだけでなく「目的を変化」させるとは思わなかった。
『バタフライ・エフェクト』との違いは、
本作が、
ループを繰り返すことによる解決をやめ、世界観そのものを変えることによって目的自体も変える、という解答を出したこと。
彼女達に難問が出された。
この問題には、選択肢がいくつか示されているが、そのうちのどれを選択しても不正解となるようなものだった。
『バタフライ・エフェクト』は、{netabare}「自分で新たな選択肢を加えてそれ{/netabare}を答えにした」
これに対し本作は、「問題自体を書き直して答えを出した」ということになる。
しかも、問題を書き直したのは、解答者だと思われたほむらではなく、問題文の中身であるまどかだった。
今思えば、この解答を出すために、宇宙規模にまで世界観を拡げざるをえなかったのだろう。
たしかに、「世界を拡げて根本的な解決を図る」という方法をとったことには賛否両論あるかもしれない。
しかし、途中までこれだけ絶望感を表現してきたアニメが、救いのない結末で終わって欲しくなかった。
だから、感情論になるが、個人的にはこれで良かったと思っている。
彼女達が置かれた状況は、問題文に従うことでは解決できないほどに絶望的だったのだから・・・。
結果的には、ほむら個人にとって100%満足のいく結末ではなかったかもしれない。
しかし、まどかの提案をほむらは拒絶しなかった。
それは、まどかの提案内容が、ほむらが望んだ結末よりも
遥かに高尚なものであり、かつ唯一の解決策だったからだと思う。
またもや好きな実写映画を超えられてしまった。
アニメって、本当に恐ろしくて素晴らしい。