STONE さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
謎が謎を呼ぶ展開
原作は未読。
あくまで個人的意見ですが、実はアニメで一番苦手なジャンルはホラーでは?と思って
います。
恐怖にも色々あると思いますが、笑いや悲しみなどの感情に較べて、より生理的に直結
している要素が強かったり、自分の身に置き換えたりすることで伝わる怖さがあったりで、
そういう意味では映像的リアリティ度が高い実写の方が軍配が上がるように思えます。身も
蓋もない言い方をしてしまうと、結局は絵であるアニメはなかなか恐怖感が伝わりにくい。
ただ、この作品に関しては単なる驚かしモノではなく、ミステリー要素が相当強い作品で
あるため、そういった部分に惹かれ、最後まで楽しむことができた。
序盤は事情を知らない榊原 恒一と視聴者を同じ立場に立たせることで、「一体、何が
起きているのか?」、更に恒一としか交流を持たない少女である見崎 鳴をミステリアスに
描くことで「見崎 鳴は存在するのか?」という2つの謎を見せてくれる。
特に鳴の存在に関してはミスリードしてしまう描写が多く、この辺の演出はなかなか
上手いなという感じ。
序盤の謎が判明した後は、「災厄を止める方法は?」、そこから派生した「死者は誰か?」
といった感じで、新たな謎が出てくることで飽きさせない。
作品の中で最もウェイトの大きなトリックはいわゆる叙述トリック。映像作品でも叙述
トリックという言い方をするのかどうか判りませんが。
先に原作未読と書きましたが、原作者の綾辻 行人さんに関しては「館シリーズ」を始め、
一時はまった時期がありました。綾辻さんの作品は叙述トリックが結構多かったのだが、その
ことを忘れていたため、ちょっとした「やられた感」はありました。
もう一度見返すと初回鑑賞時にはどうでもいい感のあった日常会話が、結構ヒントになって
いたり。
叙述トリックは映像作品においてはなかなか難しいものがあるため、よく頑張ったなという
印象はあります。わざわざ同じ人である三神先生と怜子のキャスト名を変えたりして。
叙述トリックが作者が読者(視聴者)に仕掛けるトリックだとすると、作品内で犯人が
捜査側に仕掛けるトリック、この作品においては死者探しの部分ですが、こちらはちょっと
呆気ない印象。
はっきり言ってしまうと、鳴はかなり早くから死者が誰か気付いていたようで、だったら
死者を返すことが災厄を止める方法だと判明した時点で、死者が誰かを言いなさいって感じ。
まあ、恒一の親族であるがゆえに言いづらかったのだろうが。
災厄により次々と3年3組、及びその親族が死んでいく描写は突然やってくるため、単なる
日常シーンでも、疑心暗鬼になって見てしまった。
この辺の過程は忍び寄る死といった感じで、なかなか雰囲気があったのだが、ラスト2話の
大殺戮大会は、それまでの雰囲気とは大きく異なり、ちょっと残念。クライマックスで盛り
上げたかったのかもしれないが、こういう派手さは無くても良かったのでは?。
ただ、災厄の怖さとは異なる、狂気に駆られた人間の怖さみたいなものは出ていたと
思います。