粟島二武 さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
タイトルなし
アニメを観ただけではストーリーの背景を完全には理解出来ず、ネットで確認してある程度は理解できた。
少女が激高したとたんに超能力による爆発が起きたり、ヒロインのクローンが何体も作られたりと、どこかで観たようなシーンがあり、内容的には一種のユートピア崩壊(ディストピア)ストーリーと思われる。ただし、ここでいうユートピアは人間の合理主義の極致であるフラクタルシステムで、”万人の幸福”が実は”万人の洗脳”、という部分にこのアニメの個性がある。
フラクタルシステムで人間が支配されているはずなのに、実在するのは管理者(僧院)だけで支配する側の独裁者がいない。支配者は人間の依存心が作り出した幻影なのかもしれない。
クレインが結局手に入れたものは、ネッサの心を持ったフリュネであり、それはフラクタルシステムの最初の鍵ととして選ばれた心の傷を抱いた少女がそのまま復活したともとれる。ある意味で、劇中にある「三人でずっと暮らす」というセリフが実現したことになるが、ハッピーエンドと呼ぶには奇妙な印象をうけるのは否めない。心の傷を抱いた少女が、何体ものクローンを経た後にようやく自分を受け入れてくれるクレインに出会うことができた、と解釈すれば少々強引だけどもハッピーエンドなのかも知れない。
男性視聴者向けのサービス的な場面があり、ノイタミナ枠アニメとしてとらえると賛否両論があるかも知れないが、そういった既成概念を取り払えば普通に楽しめる内容だと思った。