竹 さんの感想・評価
2.5
物語 : 1.5
作画 : 4.0
声優 : 1.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
見事な原作ブレイカー
原作の面白さから人気を呼び、空戦を題材にした飛空士シリーズとして『追憶』に続き『恋歌』、『夜想曲』、『誓約』とその世界観をさらに広げていっている本作ですが、この映画化はひどかったような気がします...
【ただシーンを繋げたような展開】
原作は小説ということで、主人公、シャルル共にその内面描写は事細かに描写されています。特に機内の中で座っている状態がデフォルトなので、空戦のアクションというよりもその命をかけた精神状態からの敵機に囲まれる絶望や生存への渇望がいい感じにこの二人に人間味を与えているように思っていました。が、序盤からストーリーの枠組みを掴める程度にいろんな心理描写を飛ばす、飛ばすといった感じで、わりと原作では大事だと思っていたシーンがなかったりで驚きました(※ {netabare}特に断髪んとことか、本作のタイトル『とある飛空士への追憶』に繋がる終章のとことか{/netabare})。かと思いきや主人公への差別的な表現は二割増といったふうに仕上がっていました。身分違いを強調している暇があったら、ヒロインへの淡い恋心とか、皇子のもとに送り届ければいけない葛藤とかもっと描けなかったのかなと思います。
【声優】
この作品は主人公とヒロインの二人だけのシーンが大部分を占めるわけですが、肝心の二人の声優が下手くそであったのは致命的でした。神木さんは頑張ってはいるものの、叫び声とかの間の抜けた高い声のせいで、戦闘の緊張感とかがガクッと崩れたり、竹富さんはモデルさんですからね。あんまり喋らなかったですが、サンドイッチマンの富澤さんは普通に上手かったです。アメトークでもええ声芸人の時、ちゃっかり宣伝入れてくれたりして、ナイス!と思ってました。
【総評】
もうちょい原作を尊重できなかったのかなと思いました。尺の都合上削る部分があるにしたって、ちょっとカットし過ぎですね。映画から入った人は一巻で完結するので原作の文庫を読んで、また文字を読むのは嫌いって人はコミック版の出来はいいのでそっちを読んで補完するのもいいかもしれません。