mikura さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
救いのない物語。
中学生の主人公シュウが不思議な少女ララルゥと出会い、巻き込まれる形で遠い未来(百億年後?)の地球の軍事要塞ヘリウッドに連れてこられる。
太陽は肥大化しており、大地は砂漠化し荒廃している。そんな滅びゆく世界の中にあっても、人々は戦争を繰り返し、殺し合い奪い合っているのでした。
ヘリウッドの兵隊として組み入れられたシュウは、平和主義で銃を持つことも拒むのですが、そんな彼の態度は受け入れられず、むなしく響く。
憎しみの連鎖は悲劇しか生まないとわかっていても、殺さなきゃ殺されるし、復讐心を抑えることはとても難しい。
人間は理性はあっても、結局のところ欲望や感情が原動力となっている生き物です。
そのあたりがこの作品のテーマであるように思いました。
以下ネタバレの感想。
{netabare}
ララルゥの正体は結局わからない。ペンダントを使い水を出して操ることができるが、使うたびに命が縮まるという。 普通の人間の数万倍生きていると、作中で本人が言っています。
「私が水を出すたびに、人々は最初は感謝するが、やがてそれで戦争を繰り返す」と言い、水を出すことを渋る。
地球環境を守るために人類が作ったシステム的な人工知能なのかなと思っていましたが、彼女は最後に地球に水を溢れんばかりに生み出したあと、透明になって消えてしまう。
神様のような何かとしか思えない。
作中世界がどのくらい未来の地球なのかはっきり語られることはないのですが、冒頭の英文の通り百億年後だとしたら、太陽はとっくに燃え尽きて地球もなくなっている頃だ。
要塞ヘリウッドは水を燃料にして飛行することができる。それゆえハムドはララルゥに水を出すように度々せまるわけですが、「水」を燃料?
蒸気機関や原子力発電のように、エネルギーの伝達媒体として水を使っているわけではないらしい。
レーザー核融合を行っているような描写がある。いやもちろん私も反応している核融合炉の中なんて見たことないんですけども。
水→重水→重水素、重水素どうしで核融合という反応が、あの熱球の中で起こっているのかな?
狂王ハムドに最後まで忠誠を尽くすアベリアが良かった。特にカリスマがあるわけでもなく、精神不安定で残虐な彼になぜそこまで尽くすの? と思わざるをえませんでしたが、不条理を飲み込んで芯を通す姿が印象に残りました。
{/netabare}