hiroshi5 さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
全ての女性が女神。主人公はやたらともてる。しかし、安易にハーレムアニメとは判断しがたい物語。
こういった作品があると「良い!」って思える。
こういった作品があり過ぎると「ウザイ」って思える。
そういった作品です。
White album 後編は前編に増して複雑な物語と化していた。大量の伏線を殆ど同時進行で処理していくのだから脚本家の仕事は大変だっただろう。
簡単に状況説明すればこのようになる。
藤井冬弥(主人公)は彼女であり、人気急上昇中のアイドルである森川由綺(ヒロイン#1)と最近連絡することが少なくなりお互いの愛に不安が出てきている。そこに藤井冬弥と森川由綺を別れさせることが名義で愛人役を務めつつも、かなりガチな恋愛に進展しつつある森川由綺の専属マネージャー篠塚弥生(愛人#1)と森川由綺の友人であり、ライバルである売れっ子アイドル緒方理奈(ヒロイン#2)が主人公藤井冬弥に急接近する。同時に藤井冬弥にどっぷり惚れ込んでいる大学の先輩澤倉美咲(愛人#2)と河島はるか(ヒロイン#3)が藤井冬弥の家庭内事情に介入し、またアルバイトで家庭教師をやっている藤井冬弥の生徒である観月マナ(ヒロイン#4)もツンデレながらも冬弥に引き込まれていく。
これが前編の概要である。さらにこの状況に↓
幼馴染と名乗るミュージシャンの松山めのう(ヒロイン#5)が藤井冬弥に慣れなれしく女性関係の中に割って入ってくる。
後編の恐ろしさはこれだけでは収まらない。前半では人間関係だけに物語は収まっていたが、後編では下記の事情が複雑に絡まりあってくる。
森川由綺が主人公の周辺の女に対し疑心にかられる。
緒方理奈が藤井冬弥を専属マネージャーとして再び雇い、森川由綺にプレッシャーを与える。
篠塚弥生と藤井冬弥の愛人関係がメディアカメラマンに撮られる。
藤井冬弥の父親が入院。
澤倉美咲は藤井冬弥の友人である七瀬彰と付き合いながらも、気持ちは藤井冬弥に傾いたまま。
緒方英二は一枚の絵にかられて理性を乱しつつある。
M&Mミュージック側が裏工作を仕掛ける。同時に田丸が平良木を通して裏工作。
後編の後半にはさらに隠されていた事実が明らかになるのと同時に人間関係も複雑さを増す。
正直、一番のヒロインである筈の森川由綺と緒方理奈に限って余りピックアップされてないかった様に思う。
最終回に至っては森川由綺との会話は殆どなく、最後を飾るような二人のシーンもまったくなかった。
それでも、この作品に不満がある訳ではなく、全てのヒロイン&愛人を主人公なりの女神として扱う表現はとても良かったと思う。
何よりも、この複雑な伏線の絡み合いを見事に回収し、全ての女性キャラクター兼モブキャラに見所を均一に配分したのは秀逸の一言に尽きる。
個人的には、前編のレビュータイトルにも書いたが、篠塚弥生が良過ぎた。女性らしさが充満していて、表面と内面とのギャップ、そして藤井冬弥との関係の持ち方が彼女をより一層輝かせていた。
彼女あってこその「White album」だろう。というか、多分藤井冬弥と一番多くキスしたのも篠塚弥生、一番多く肉体関係を持ったのも篠塚弥生、一番多く会話したのも篠塚弥生、一番多くドライブしたのも篠塚弥生ではなかっただろうか(笑
また、篠塚弥生で思うことは、篠塚弥生がいるから良いものの、多分篠塚弥生がいなかったらどんなにこの作品が面白くても見直すことはないだろう。
正直、見終わって30分も経ったら物語の内容を忘れているほどだ。内容があまりにも濃いのと、明確なヒロインが存在せず、複数の女性と深い関係にある藤井冬弥が主人公のこの物語は目印になるビッグイベントが存在しない。
よって、いつ見てもシリアスで、先を見たくなるが記憶に残らない。また、展開が早いから途中から見ても意味が分からないという点で、見直すには不向きな作品だ。
完成度は非常に高い。見て損は無い。ただ、記憶に残らないことを肝に銘じるように。