ぷれんばにら さんの感想・評価
4.8
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
中二病だって、いいじゃない
{netabare}これまで観てきたアニメの中には、1周観ただけでスラスラとレビューが浮かんでくるものもありましたが、本作品はそうではありませんでした。しかしそれは面白くなかったからではなく、1周観ただけでは分からない部分が多かったからであり、もう一度じっくり視聴した後レビューを書くことに決めました。
結果は、大正解でした。というのは、2周目を観終えた時、なぜ立花が勇太と高校で出会ったときあんなに嬉しそうな表情をしていたのか、お互いがお互いを好きになっていったのか、そして勇太が最後にダークフレイムマスターとして立花に不可視境界線を見せようと決めたのか等が良く分かったのです。
わけがわからないうちにお父さんを亡くしてしまい、気持ちの整理をする時間もないまま時だけが過ぎていく世界を生きていた立花。そんな時、立花は「ダークフレイムマスター(※ 勇太ではありません)」に出会います。そして自分の気持ちに正直に生きることの素晴らしさ・素敵さを知った立花は、自らに邪王真眼を与え、不可視境界線を見つけることで父親に再び会おうと心に決めるのです。
もしかしたら立花を「現実を受け入れることのできない弱いやつ」と言う人もいるかも知れません。でも彼女にとっては、そうすることで自分に正直になれた。再び前を向けた。それで良いのではないでしょうか。
またかつてダークフレイムマスターだった勇太は、過去の自分を抑え込み普通の高校生活を送ろうとしていた。そこに中二病の立花が現れますが、勇太は彼女を無視したり、見捨てたりしなかった。そして、彼女を恋人として迎え入れた。それは勇太自身の優しさももちろんあるでしょうか、彼自身が中二病経験者であり、それを通して彼女と分かりあえる部分があったからではないかと思うのです。
本作品の監督は石原立也氏。「日常」以来の監督作品ですが、やはり石原氏の描写の繊細さ、芸の細かさ、キャラクター同士の会話のテンポの良さは流石です。視聴者を決して飽きさせることなく、どんどん次の展開を知りたくなります。
またシリーズ構成は京アニでおなじみの花田十輝氏。くみん先輩、凸守、十花さんという主要なアニメオリジナルキャラクターを3人も登場させていますが、彼女たちのキャラの立っていることといったら!彼女たちなしでは間違いなく、本作品は成立しません。
声優では、勇太役の福山潤さん。そして立花役の内田真礼さん。福山さんの時に優しく、時に勇ましい声は、心優しくツッコミの鋭い「勇太」と、力強い「ダークフレイムマスター」にドはまりしています。また内田さんは私自身本作品で初めてお名前を知りましたが、演技の幅がとても広い。立花の中二病のマニアックな面、うまく会話できない不器用な面、勇太に恋するキュートな面、それぞれこれ以上ないという形で演じられています。
原作を読んでいなくても十分に楽しめる作品です。どうか優しい気持ちで、勇太や立花の青春を見守ってあげて下さい。{/netabare}