ホーンリバー さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ある意味もののけ姫よりもすごい作品だ!
素晴らしいの一言に尽きます。
世界観、ストーリー、作画、演出、の全てが劇場用アニメのクオリティーを保って26話最後まで描かれています。
予算や期限の制約があるテレビアニメで、このようなアニメが生まれたことは奇跡だと思います。
まずこの作品が優れている部分というのは、緻密な世界観描写だと思います。
他のアニメに類を見ないほど精細に色彩豊かに描き込まれた背景は、見ているだけで迫力があり、一気に作品の世界観へと引き込まれていきます。
背景だけじゃありません。登場人物達が使っている衣装や小道具、はたまた建物や文字までがどれ一つとして適当にすることなく、事細かにデザインされていて、世界観を崩すことは決してありません。
また作品の舞台となるヨゴの国は、東アジアの文化をモチーフとして形作られているのですが、中国とも韓国とも日本ともつかない、絶妙な均整を持って構成されているため、既存の文化の模倣に走っていない、絶妙なオリジナリティーを発揮していると思います。
世界観ばかりを褒めてしまいましたが、演出、人物描写もものすごく繊細で、現実味があります。
この作品の中には最近のテレビアニメに出てくるような美少女や美男子は登場しません。
見る人によってはそれが淡白に感じてつまらないと思うかもしれませんが、だからこそ、登場人物たちの言動に深みがあります。
彼らの発言の一つ一つに重さがあって、心にくるものがあるんです。
特に「親に刃を向けるなんてどういう了見だい!!」のシーンなんて心の深いところでガツーンとくるものがあって、何度見ても泣けます。
ストーリーもアニメだからといって手を抜くことなく筋道建てて構成されていて、違和感を抱かせることはありません。
それと作画も素晴らしい。普通テレビアニメだと長い期間制作する中でクオリティを維持するのが難しいので、
どれか1話ぐらいは作画が他のエピソードよりも落ちてることがあるのですが、
精霊の守り人に限っては、最初から最後まで高いクオリティの作画が維持されています。
特に戦闘シーンなんかは、ハイスピードで剣劇が展開され、細かい部分の動きまでしっかり描き込まれていて、迫力満点です。
本当に非の打ちどころないほど、魂を込めて作られた作品だとは思いますが、欠点を挙げるとすれば、まさにその部分にあると思います。
まず、登場人物の全てが逞しくて賢くて、カッコよすぎるところにあります。
これはこれでいい所に入るのかもしれませんが、作品の中に一人ぐらいはオチャラけてて、救いようのないくらいのダメな奴がいてもいいじゃないかと思います。子供ですら自立して生きているんです。
作品の中に登場人物たちはみんな自分の使命や役割を全うしていて、誰ひとりとしてヘマをすることがありません。ミスを犯すとしても、本当に仕方のないものばかりです。
それと、これほど描き込まれている作品であるがゆえに、肩の力を抜いて見られる作品とは違います。
普通のアニメのように気楽に見るような作品ではありません。明らかに玄人向けです。
タイトルにも書きましたが、この作品の世界観やテーマにしているものはジブリのもののけ姫と似ている部分があります。
そのもののけ姫のクオリティーを映画の2時間の尺ではなく、26話で見られるんですから、ある意味でもののけ姫よりも贅沢な作品になっているんではないでしょうか。
もののけ姫が好きだという方はぜひ見るべきだと思います。
いい部分を上げるとキリがありませんが。大人にも子供にもぜひ見て欲しいアニメです。こんな作品が埋もれているのはもったいないと思います。