ソムリエ無冠 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
実は紙作
マイナーだが、実は神作ならぬ紙作。
詳細は見れば分かる。
もう一度見たくなる点で秀逸な作品だった。
最初は主人公の依人がただの紙であることを知らないため、深く考えずに何となく見てしまうが、
二回目以降は、依人が本当はもう生きていないことを知ったうえで見ることになるので、一つ一つの描写がより切なくなる。
また、何となくスルーしていた前半の一つ一つの話も伏線であり、全てに意味があると分かるようになる。
スルメのように噛めば噛むほど味が出てくるような演出が随所に施されている。
全体的に、繰り返しによって印象づけようとする演出(リフレイン効果)が巧みだった。
残念ながらあまり知られていないアニメのようだが、個人的には高く評価したい。よい雰囲気のアニメだった。
残された蒼乃や真名が救われないという意見もあるようだが(←ブログや2ちゃんを巡回するとそういう意見あり)、
私はそこまで酷いラストだとは思っていない。
むしろ人の死や(記憶の)消失、「空の下に行けない」といったネガティブな設定があることで、
普通に生きることの素晴らしさが巧みに表現されていたように見える。
蒼乃は依人や茉莉を失ってしまったが、その分、太陽の下で人間らしく生きる力を再び得ているし、
真名は空を撮影するという趣味、生きがいを受け継いでいる。
また、こよりも普通の人間同士として蒼乃とまた一から関係を築いている。いずれもよい進展であろう。
ただ、世間は勧善懲悪がはっきりした分かり易い話を選ぶため、マイナーな作品になってしまっているようである。
強いていえば、しんみりとし過ぎていて、インパクトがなかった。
しかし、2012年の9月にBlu-ray化されたそうだ。それに伴い、ニコニコでも放送された。
本当に不人気ならBlu-ray化さえできないはずなので、ある程度の知名度はあるのだろう。
コアなファンがいることを信じたい。